【オリンピアン目線】バドミントン女子・山口茜選手の惜敗“勝負の分かれ目”は 陣内貴美子がパリ五輪を解説
パリ五輪バドミントン女子シングルス準々決勝 山口茜選手は世界ランク1位・韓国のアン セヨン選手にフルゲームの末、1-2で敗れました。バルセロナ五輪に出場した陣内貴美子さんが解説します。 ■東京では悔いが残るも...力を出し切った山口選手 陣内 「五輪で初のベスト4を狙った今日の試合でしたが、やっぱり遠いベスト4でした。ただ本当に素晴らしい試合でした。前回の東京五輪の時は、力を出し切れず敗退した山口選手でしたが、今日は第1ゲームから今の自分の持っている力を全て出せた試合だったと思います。」 現地時間の朝に行われたこの試合、陣内さんによると、山口選手は朝の試合があまり得意ではないとのことでしたが、この日は第1ゲームから体が動いていたといいます。 陣内 「絶対王者から奪った第1ゲームは、山口選手にとって完璧なゲーム運びだったのではないでしょうか」 第1ゲームは21-15で山口選手が先取しました。 ■それでも高かった世界ランク1位の壁 逆にいえば第1ゲームから全てを出さないと勝てないのが今のアンセヨン選手。徐々に山口選手の攻撃にも対応していきます。 陣内 「粘り強い山口選手ですが、それ以上にことごとく山口選手のショットを拾っていき、山口選手の攻撃にも徐々に対応していきました。」 第2ゲームは序盤からアン セヨン選手がリードする展開で試合が進んでいきますが、それでも山口選手は終盤まで競っていき、16-17の1点差まで迫りました。 陣内 「山口選手は五輪前の2か月、故障もありフィジカル強化の時間が十分ではありませんでした。スタミナに不安があったこともあり、ストレートで試合を決めたかったと思います。しかし、第2ゲームを落とし、フルゲームまでもつれてしまった。ここが勝負の分かれ目だったと思います。」 粘りを見せた山口選手でしたが、第2ゲームは17-21でアン セヨン選手がとります。 ■遠かった表彰台 それでも… その後、第3ゲームは差がつき、8-21でゲームセット。山口選手のパリ五輪はここで終わりました。ただ両選手の実力の差は、第3ゲームでついた得点差ほど、大きなものではなかったと陣内さんは語ります。 陣内 「世界ランク1位と元世界ランク1位の素晴らしい試合でした。世界の舞台で何度も優勝してきた山口選手だからこそ、オリンピックの表彰台からの景色を見てほしかったと思います。」「オリンピックは感謝の気持ちを伝えられる場所でもあります。勝つことでそれを伝えたかったと思いますが、ここまでの道のり、そして今日の試合。山口選手の感謝の思いは、見ている多くの人に伝わったのではないでしょうか。」