エサ代高騰に輸出規制…養殖業者が直面する厳しい現実 水産王国えひめの今
南海放送
魚類養殖の生産量全国一の愛媛県。今、厳しい現実に直面しています。宇和海で生きる漁業者のイマを取材しました。
宇和島市内の養殖場です。媛スマを育てている田中俊也さん。 神明水産 田中俊也さん: 「今年の冬、12月前後から出荷スタートの予定」
愛媛のブランド魚「媛スマ」生産量の7割が事業から撤退
県では5年前に、県産の養殖スマを“媛スマ”と名付け、そのうち2.5キロ以上で脂肪含有率25%以上など、基準を満たした最上級の媛スマを「伊予の媛貴海」として県内外の高級料理店などに販売してきました。 愛媛のブランド魚として県が力を入れる媛スマですが、先月、生産量の7割を占める愛南町の養殖業者が、媛スマ事業から撤退しました。
撤退に大きな要因となったのは“エサ代の高騰”です。田中さんも… 田中さん: 「みるみる大きくなる魚なので育てていて楽しい反面、エサ代の高騰をもろに受ける魚」 エサ代が高騰しているのは媛スマだけではなく… シマアジ養殖業者: 「困ったことはエサの高騰」 マダイ養殖業者: 「今までこんなに高いことは無い」 マダイ養殖業: 「2年前からしたら3割から4割高。なかなか厳しいですね。国の補助金とかセーフティーネットとかをうまく利用しながら、国にも支えてもらいながら経営を安定させたい」
エサ代の高騰に中国の水産物禁輸が追い打ち
サバやイワシなどの「生エサ」、魚粉をベースにした「配合飼料」どちらのエサも過去最高値の水準にまで高騰。世界的な魚粉需要の高まりに加え、円安や輸送コストの増加が主な要因だといいます。 先月にはマダイを養殖していた愛南町の養殖業者が、エサ代や燃料代の高騰などで資金繰りが悪化し事業停止に。
価格高騰という厳しい養殖環境の中で、何とか育てた魚を販売する、その販路にも去年、大きな壁が立ちはだかりました。 去年8月、福島第一原発にたまる処理水の海への放出を受け、中国が日本産水産物の輸入を停止に。
宇和島市の水産商社、イヨスイです。取り扱う県産シマアジのおよそ半分を中国に輸出していたイヨスイにとって、中国への輸出禁止は大きな痛手に。 イヨスイ海外事業部 宮石利紗子マネージャー: 「やはり規格であったり加工の好まれる加工形態であったり、投薬(ワクチンなど薬の種類)は各国違うので、どうにかあてはまる、認められる国に輸出したり」