投票する有権者＝東京都千代田区で2024年10月27日午前9時48分、三浦研吾撮影

　総務省は28日、衆院選と同時に実施された最高裁裁判官国民審査で、対象となった6人全員が信任されたと発表した。有効票のうち罷免を求める割合（罷免率）が過半数に達すると罷免されるが、各裁判官の罷免率は、尾島明氏が11・00％▽宮川美津子氏が10・52％▽今崎幸彦氏が11・46％▽平木正洋氏が9・97％▽石兼公博氏が10・01％▽中村慎氏が9・82％――だった。 【選挙戦を振り返る　2024衆院選】 　審査対象となったのは前回衆院選（2021年10月）後に任命された最高裁裁判官。 　21年の国民審査では、夫婦別姓を認めない民法の規定を巡る最高裁決定で各裁判官が示した憲法判断に対して「罷免運動」が起こされ、一部層で関心が高まったとされる。国民審査の対象となった最高裁裁判官11人の罷免率は7・82～5・92％で、平均は6・78％だった。 　今回は就任したばかりの最高裁裁判官も含まれており、判断材料が乏しかったとみられるが、平均罷免率は10・46％と全体的に高く、対象の6人中4人は罷免率が10％を超えた。 　国民審査を巡っては、最高裁大法廷が22年5月、在外邦人が国民審査に投票できない当時の国民審査法について違憲と判断。今回から在外邦人による投票が可能になった。こうした出来事もあって制度に対する国民の注目が集まった可能性がある。 　罷免率がこれまで最も高かったのは1972年（第9回）の下田武三氏の15・17％。49年の第1回からこれまで罷免された裁判官はいない。【巽賢司】