「薬として簡単に出せない金額かな」…治療薬が約3万円 新型コロナ“通常医療”でワクチン接種しない選択への懸念も
日常生活に大きな影響を及ぼした新型コロナウイルス。2023年5月に感染症法上の分類が「5類」に引き下げられ、2024年4月から政府の特例的な財政支援も全て終了した。 インフルエンザなどと完全に同じ体制に移行することになったが、ウイルス自体がなくなったわけではなく、体制が変わることに対し医療現場では不安も感じている。 【画像】治療薬によっては1万6000円~3万円程度の自己負担になることも
治療薬の処方「ちょっと悩ましい」
福岡市西区のクリニックに設けられた発熱外来には、新型コロナとインフルエンザの同時検査を受ける患者の姿があった。「新型コロナとインフルエンザ、どっちも陰性です」と医師は相変わらず休む暇もない。 やまもとホームクリニック・山本希治院長: 来院は、だいたい4~5人くらい。陽性はインフルエンザが出なくて、コロナの方が1人2人、出るか出ないかですね 現在の感染者数は落ち着いているが、2023年7月には1医療機関あたりの感染者数の平均は21.79人。インフルエンザとの同時流行となった2024年1月には13.96人と、夏と冬に感染の波が起きていた。 やまもとホームクリニックでは、4月に入ってから発熱外来を訪れる患者が1日数人程度と落ち着いているとはいえ、地域の需要に応えたいと発熱外来を続けている。 感染者がいなくなるわけではなく、医療体制が通常のかたちに移行したことで山本希治院長は「不安」を感じていた。 やまもとホームクリニック・山本希治院長: 重症化リスクはもちろん説明させていただいて、治療に掛かる額が場合によっては1万円から3万円。家族に電話をして、コロナの特効薬を使うか確認させてもらってからの処方。ちょっと悩ましいところですよね。簡単にはお薬として出せないかなと
薬の種類によっては3万円程度に
これまでは新型コロナにかかった際の医療費について、政府が特例的に財政支援を行ってきたが、4月からこの支援が終了した。それに伴い、入院した場合の医療費や治療薬にかかる自己負担が増えた。 大賀薬局舞松原店・川上浩樹さん: 新型コロナの治療薬『ラゲブリオ』です。今月から3割負担の方だと2万8000円くらい。1割負担の方だと9400円くらいになりますね 福岡市東区の調剤薬局では新型コロナの治療薬「ラゲブリオ」を取り扱っている。18歳以上で、重症化リスクの高い、軽症から中等症の患者を対象に処方される薬だ。 川上さんによると、無料だったときは定期的に出ていたが、5類移行後は余り出なくなったという。 これまでは公費による補助があり、最大9000円だった治療薬が4月からは薬の種類にもよるが、3割負担の場合、窓口で1万6000円から3万円程度支払う必要があるのだ。 川上さんは、患者の受診控えや薬を要らないという人がいたときに、それによって重症化する人が出ることを懸念している。また、更に薬が出なくなれば、今後の仕入れを減らすことも検討しなければならないという。 大賀薬局舞松原店・川上浩樹さん: 患者が欲しがらないとなると在庫しておいていいのかという問題が出てくる。やはり薬なんで、期限があるので9万円(3万円 × 在庫3個分)の薬が動かないとなると結構大きい金額なので…、在庫を今の3個から1、2個くらいに減らす予定です