昨季2勝のみも…他球団が「エースになる素材」と評する新人王候補は
積極補強を進めた日本ハム
昨季2年連続最下位に沈んだ日本ハムだが、オフの戦力補強で新庄剛志監督は手ごたえをつかんでいるだろう。 【選手データ】金村尚真 プロフィール・通算成績 複数球団の争奪戦を制し、オリックスから山崎福也の獲得に成功。先発要員で身長196cm右腕パトリック・マーフィー、吉田輝星との交換トレードでオリックスから黒木優太が加入して先発陣に厚みが増した。FA権を行使するか動向が注目された左腕エース・加藤貴之の残留も朗報だ。先発ローテーションの軸で奮闘していた上沢直之はポスティングシステムでレイズとマイナー契約を結んだが、戦力の流出を最小限にとどめた。 野手ではメジャー通算108本塁打を放ったフランミル・レイエスを獲得。インディアンス(現ガーディアンズ)に所属した2019年に自己最多の37本塁打、21年に30本塁打をマーク。まだ28歳と若く長距離砲として期待がかかる。俊足が武器のアンドリュー・スティーブンソンも、チームに新風を吹き込む。昨季はマイナー・リーグで44盗塁をマーク。日本ハムは昨季リーグ5位の464得点だったため、助っ人2人が機能すれば大きなプラスアルファになる。
ブレークが期待される先発右腕
派手な補強戦略が目立ったが、生え抜きの若手たちの活躍なしに優勝争いは望めない。村上頌樹(阪神)、山下舜平大(オリックス)が昨年覚醒したように、若武者の活躍はチームを勢いづける。日本ハムで今季大ブレークが期待される右腕が、プロ2年目の金村尚真だ。 沖縄県出身の右腕は岡山学芸館高を経て、富士大へ。1年春からリーグ戦に登板し、2年秋と3年春にMVP、ベストナインを受賞。3年春はリーグ開幕戦・ノースアジア大戦で毎回の18奪三振で完全試合を達成するなど、7勝0敗、防御率0.16をマーク。大学4年間でリーグ戦通算36試合登板し、25勝5敗、防御率は0.87と申し分ない成績を残した。236回1/3を投げて260三振を奪い、与四死球率0.99と安定感は際立っていた。 ドラフト2位で日本ハムへ。同期入団の1位・矢澤宏太が投打の二刀流として注目を集め、「負けないようにしたい」とライバル心を口にしながらも、「順位に関係なく活躍している人はたくさんいる。惑わされずに頑張りたい」と芯の強さを見せていた。 大きな武器は制球力だ。常時150キロ近い直球にスプリット、カットボール、スライダー、カーブ、チェンジアップと多彩な変化球を織り交ぜ、打者を翻弄する。新人の昨季は開幕から先発ローテーションに入り、4月9日のオリックス戦(京セラドーム)で6回1/3を2失点に抑え、新人の先発では12球団通じて最速のプロ初勝利を飾った。4点の援護をもらった初回に無死満塁のピンチを招いたが動じず、最少失点に切り抜けた。2回から6回までは危なげない投球で、マウンド上では風格を漂わせていた。