県立高校の部活顧問が“丸刈り”強要で物議…教師の指導が「違法」と判断される基準とは
判例から考えられる“違法指導”の基準
上記裁判例に照らすと、いくら教育目的があるとはいえ、生徒を強制的に丸刈りにさせることは生徒に屈辱感を与え、人格的利益を侵害することは明らかなので、違法であろう。 他にも手を出すなどの有形力の行使や、行き過ぎた暴言などは、過去の裁判例に照らせば「客観的な合理性・相当性を欠いており、その裁量の範囲を逸脱しており違法」と判断される可能性が高い。
最後に
時代は変わった。もはや「体育会系の部活なのだから多少の暴力、制裁や暴言があっても問題なし」という考えは通用しない。今回の丸刈り強要事件がどのようにして明るみに出たかは定かでないが、生徒からの苦情が発端となったのかもしれない。 この記事を読んでいる学生がいたら、不適切な指導をされた場合は保護者に相談し、教育委員会等に訴え出ていただきたい。あなたの勇気ある一声で、中高スポーツの指導現場が生まれ変わる可能性があるからだ。 林 孝匡(はやし たかまさ) 【ムズイ法律を、おもしろく】がモットー。情報発信が専門の弁護士です。専門分野は労働関係。好きな言葉は替え玉無料。
林 孝匡