「防げたシーンはたくさんあった」鈴木彩艶は猛批判を浴びたアジアカップで何を感じていたのか。前を向く守護神が“3週間後の本音”を明かした【現地発】
前節4失点。悪い流れを断ち切る貴重なクリーンシートだった
STVVにとって2月24日のウェステルロー戦は、クラブ創設100周年を祝う場でもあった。シント・トロイデンの中心街からスタジアムまで、ファンと市民が一緒になって行進し、スタイエン・スタディオンを華やかに盛り上げた。結果は1−0の勝利。サポーターたちは夜遅くまでスタジアムに残って100歳の誕生日を喜んだ。 【PHOTO】アジアカップ2023を彩った各国美女サポーターを特集! 「歴史を感じます」。そう選手たちが口を揃えた一戦で、伊藤涼太郎が艶やかなループシュートで決勝点を決めた。37分、GK鈴木彩艶が右WBロベルト・ヤン・ファン・ウェセマ―ルにパスを出すところから始まった攻撃は、FWアブバカリ・コイタのポストプレーから伊藤が仕留めて完結した。 「縦パスがコイタ選手に入ったところで、『自分が前向きでサポートできたらキーパーと1対1の形までいける』と思った。人とボールが流動的に動く、チームとして狙っていた形です。フィニッシュのところは自分のアイデア。最初はシュートを流し込もうと思ったんですが、GKが前に出ていたのでループを選択しました」(伊藤) 伊藤が攻撃のヒーローなら、鈴木は守備の立役者だった。この日は前半と後半にそれぞれ1回ずつ、貴重なセーブを披露。33分、ウェステルローが右サイドから仕掛け、4本のシュートを続けて撃った。ペナルティーエリアの中に両チーム合わせて10人のフィールドプレーヤーが入り乱れる。ボールが何度も鈴木の視界から消え、4本目のミドルシュートも伊藤のブロックをすり抜け、さらにウェステルローの選手がコースを変えてきた。この難しいシュートを、鈴木は横っ飛びしてCKに逃れている。 「ブラインドのシュートが多い中でも、とにかく自分が届ける範囲を確実に防ごうと準備していた。最後見えてきたところで、しっかりと対応できたのでよかったです」 大詰めの88分にはDFジョーダン・ボスとの1対1になり、浮き球を突くようなシュートを確実に身体に当てて防いだ。 「嫌なバウンドと言いますか、ボールが宙に浮いていたので、無理にアタックするより、確実に“面”を作って身体に当てようとした。そこができたので、良いセーブだったと思います」 前節、アンデルレヒトに1−4という大敗を喫していただけに、悪い流れを断ち切る貴重なクリーンシートだった。前回の反省を活かして「ビルドアップでイージーにやるところはイージーに」「後半の立ち上がりで失点したので、そこの締め直し」「集中力を切らさず、最後までコーチングを続けること」を意識し、それを結果に結びつけた。
【関連記事】
- 5試合で8失点。アジア杯のGK鈴木彩艶をどう見た? かつての“正守護神”川島永嗣の見解は――「決定的な仕事をするために突き詰めていくのは大切」
- 「日本人ばっかり出して」「弱いじゃないか!」ファンが不満を抱いたSTVVが100周年で挑む“ユース育成改革”の全容~立石敬之CEOに訊く【現地発】
- 「欧州組を呼ぶ意味がよく分かった」NEC小川航基が森保ジャパンから得た“リアルな刺激”「自分も食い込んでいきたい」【現地発】
- 「負けた身なんでね。どうこう言うつもりはない」アジアカップで4得点の上田綺世がオランダ帰還で“熱い決意”を語る!「信頼を得ることが生命線」【現地発】
- 直撃取材!「日本化」が加速するシント=トロイデンは、地元サポーターに受け入れられているのか?【STVV現地レポート①】