JR美祢線、存廃含めた協議へ 山口県の沿線自治体とJR西、検討部会設置を決定
1年前の大雨で被災して全線運休が続く山口県西部のJR美祢線(46・0キロ)を巡り、沿線自治体やJR西日本でつくる協議会の臨時総会が30日、山陽小野田市であり、鉄道での復旧と他モードでの復旧の双方を調査、検討する新たな部会を設けることで合意した。 【地図】JR美祢線 自治体は鉄道の存続を求めているが、JR西は利用低迷などを理由に「自社単独での運行は困難」として復旧に応じず、新部会の設置を要請していた。 臨時総会には、沿線の山陽小野田、美祢、長門の3市長と山口県の担当者、JR西の広岡研二広島支社長たち15人が出席。鉄道による復旧と、鉄道以外での復旧の双方のメリット、デメリットを調査、検討する部会を設置することを全会一致で決めた。 JR西によると美祢線は2023年6月30日~7月1日の大雨で、湯ノ峠(ゆのとう)(山陽小野田市)―長門湯本(長門市)間(36・8キロ)の80カ所が被災。美祢市では第6厚狭川橋梁(きょうりょう)が流失した。10年の豪雨で被災し復旧した場所も含まれていた。 美祢市など沿線自治体が求める早期復旧にJR西は応じず、今年5月に広岡支社長が「JR単独での復旧は非常に難しい。仮に復旧させても、JR単独での持続的な運行は困難」と表明。美祢線の在り方を話し合う部会を設けるよう自治体側に提案していた。 美祢線は県西部を南北に走るローカル線。山陽小野田、美祢、長門の3市を結び、山陽線、山陰線と接続する。車の普及や人口減の影響で利用者の減少が続き、1キロ当たりの1日平均乗客数を示す輸送密度は新型コロナウイルス禍前の19年度で478人。JR西が発足した1987年度(1741人)の3分の1以下に減った。 被災前年の22年4月、JR西は輸送密度が2千人未満の赤字ローカル線17路線30区間を「単独では維持困難」とし、収支を公表した。美祢線も含まれ、年間赤字額は17~19年度の平均で4億4千万円だった。
中国新聞社