カナダ地元メディアは3発被弾の山口俊を「第5先発争い脱落」と酷評「中継ぎに収まる」「スプリットが鈍く代償」
トロント・ブルージェイズの山口俊投手(32)が5日(日本時間6日)、米フロリダのクリアウォーターで行われたフィラデルフィア・フィリーズ戦に2番手としてメジャー3度目のマウンドに上がったが、2回1/3を投げて3本塁打を含む5安打2四球4失点と打ち込まれ結果を残せなかった。山口は先発のタナー・トークの後を受けて3回から登板。この回は無失点に切り抜けたが、4回にリース・ホスキンスに落ちの甘いスプリットをレフトスタンドへ運ばれると、5回にも先頭のオースティン・リスティにスライダーをレフトのポール際へもっていかれた。さらに一死一塁から主砲のブライス・ハーパーにストレートを捉えられて逆方向に2ラン。強風に影響された悲運な部分もあったが、続くホスキンスにアンラッキーな二塁打を打たれたところで、予定の50球をオーバーして途中降板となった。 トロントの地元メディアは、デビュー戦に続き、また結果を出せなかった山口に「先発ローテー争い脱落」という厳しい評価を与えた。 トロント・サン紙は、「日本の山口は2.1イニングの投球で3本塁打を含む5安打を許して良い登板とはいかなかった」と厳しい評価を与え、開幕ロスターを予想する記事の中で、先発5番手に山口ではなく、トレント・ソーントンの名をリストアップした。 「2019年にルーキーとしてブルージェイズで最もイニングを投げたソーントンは、早い段階から先発5番手争いの先頭に立っている。もし彼が今の投球を続ければ、先発5番目は彼のものだ。(木曜日に3本塁打を打たれた)山口俊と(水曜日に打たれた)アンソニー・ケイにも、わずかな可能性はあるが」という見方をした。 その上で山口の名はブルペン陣に加え、「山口は、まだ先発の座を争っているが、ブルペンの投手陣に収まるかもしれない」と、開幕ローテーからは外れて、中継ぎ起用される公算が高いことを伝えた。
モントーヨ監督は「スプリットが鈍かった」
カナダのスポーツメディア「スポーツネット」も、この日の山口の登板に触れて厳しい評価を下した。 「午後遅く、ブルージェイズのもう1人の投手にとっては、忘れるべき1日となった。トレント・ソーントンとアンソニー・ケイと先発の5番手を争う日本人右腕の山口の直球は88マイルから90マイル(約142キロから145キロ)で3本の本塁打を許した。風が、1本か、それ以上の打球が外野のフェンスを越えることを助けたのかもしれないが、理想(の投球)と言えるものではなかった」 同メディアは、試合後のチャーリー・モントーヨ監督の「今日は山口のスプリッターが鈍かった。彼は投球を知っている選手だが、スプリッターが鈍かったため代償を負った」という声を紹介。結果を出せなかった原因を分析した。 山口はデビュー戦からメジャー球への適応に困惑していたが、スプリットの落ち方の甘さから判断すれば、まだメジャー球の感覚をつかむのに時間が必要なのかもしれない。 同メディアは、「この登板は、このキャンプで山口が希望するローテーションをつかむチャンスに一撃を与えたと考えられるかも」と、ローテー争いに生き残ることが厳しくなった現状を伝えた。だが、一方で、「この何年も、スプリングトレーニングでの調整が変わってきたように、ロスターの争いも、どう変わるかわからない」と救いも持たせた。 さらに「山口は開幕ローテーに執着しているのかもしれないが、どのチームも長期的ビジョンを持っている。シーズンは長く、山口は、今、プロ生活と文化的な変化を経験している。これは、すぐに解決できることではない。チームは、これからの7か月の道のりが成功に終わるように山口を起用していくだろう。3月の段階で、この努力が実を結ぶかどうか、知ることはできない」と続けた。 同メディアも、中継ぎなどを経験しながらメジャーに適応していく起用法が採用されるのではないか、という見解なのだろう。 元々は、ストッパーゆえに中継ぎにも適性はある。先発ローテー入りが困難であれば、中継ぎから段階を踏んで”フル回転”で存在感を示すしかないのかもしれない。