「UMBRO」100周年、オンリーフットボールブランドとして次の100年へ 北川信行の蹴球ノート
例えば、今では当たり前になっているが、日本の育成年代のサッカーの現場で、熱中症対策として帽子を被ることを最初に提案したのも、アンブロだった。松井部長代行は「サッカーをするときに帽子を被る文化はそれまでなかったのですが、継続して取り組むことで、今では帽子を被っていない小学生は見ないぐらいになりました」と手応えを口にする。さらに、子供のころからヘディングをすることの悪影響が欧州で指摘されるようになり、ヘディング禁止の動きが広まりつつあることを受け、プロテクトヘッドバンドを開発し、着用を推奨。こちらはまだスタートしたばかりだが、「脳の衝撃であったり、衝突や転倒をした際のショックの低減だったり…。けがの防止につながるエビデンスも出ています」と効能を説明した松井部長代行は「われわれは影響を与えるところに着目し、時間をかけて開発してきました。昨年から展開していますが、啓蒙(けいもう)活動していきながら普及させないといけないと考えています。最初はサッカーだけでしたが、転倒の危険があったり、接触したりする競技はほかにもあります。たとえば、体育の授業でも役に立つかもしれません」と力説する。
さらには、「フィールドで戦っているのは選手たちだけではない」とのコンセプトで「コーチャーズ」と題して指導者向けのウエアなども展開。審判員や、子供たちをサッカー場に引率する保護者のための製品開発も行っているという。
松井部長代行は「われわれの強みになっているジュニアカテゴリーの部分に関しては、子供たちの成長や安全に寄り添った製品開発を行っています。引き続きやっていきながら、サッカーの普及につながればと思っています。選手や保護者が困っている課題を解決できる製品や、パフォーマンスアップにつながる製品の開発も引き続き行いたいと思います。社会の変化に適応しながら、サッカーにつながる全ての人と一緒にブランドとして成長していけたら。存在意義のあるブランドとしてバトンをつなげていきたいと思っています」と次の100年に向けた思いを語った。