相次ぐ住宅強盗、「防犯関連商品」売り上げ急増…補助錠・人の動き感知するチャイムなど
首都圏を中心に相次ぐ戸建て住宅を狙った強盗事件を受け、家庭向けの防犯対策への関心が高まっている。ホームセンターでは、侵入対策の防犯関連商品の販売が全国で急増。警備会社には、離れて暮らす家族の見守りに関する問い合わせも寄せられている。 【写真】妻を殺された夫、血痕残る部屋を借り続ける男性
(後藤陵平、小松大樹)
近所で事件「人ごとでない」
東京都江東区のホームセンター「コーナン江東深川店」。7日午後、同店を訪れた会社員(57)は、「近所でも事件が起きて不安。決して人ごとではない」と表情を曇らせた。
葛飾区に戸建て住宅を持つといい、窓に補助錠を付けたり、踏むと大きな音がする特殊な砂利を敷地内に敷いたりしてきた。しかし、今月2日、同区東水元の住宅で強盗致傷事件が発生。「可能な限りの対策を取りたい」と追加の防犯グッズを探しに来たという。
同店を含めて全国約600店を展開するコーナン商事(大阪)によると、同社の10月の防犯関連商品の売り上げは前年同月比で倍増。窓のは約2・8倍、人の動きを感知して音が鳴るチャイムは約2・3倍の売れ行きだった。
ホームセンター大手「カインズ」(埼玉)でも、10月上旬の補助錠や防犯フィルムなどの売り上げが前年同期の約3倍になり、一部店舗で品薄になった。同社の担当者は「必要な商品を届けるため、在庫の確保に力をいれている」と語る。
警備大手「セコム」(東京)では、販売する防犯仕様のガラスやフィルムに関する問い合わせが10月、前年同期の約42倍に上った。2022~23年の指示役「ルフィ」らによる強盗事件以降、需要が高く、同社は5月、大型バールでも貫通しづらい強化ガラスを発売した。価格は1平方メートル当たり約17万円と従来品の約2倍だが、一般家庭からの問い合わせも相次いでいる。
窓ガラス用の特殊な防犯フィルムを施工する「フィルムクラン」(神奈川)では10月、通常の4倍近い約30件の受注があった。9割は戸建てに住む人からで、既に12月中旬まで予約でいっぱいだという。フィルムは窓の鍵付近に貼るのが有効だが、他の部分から破られる恐れもある。荒井満義社長(38)は「窓の大きさに合わせて正しく貼ることで、より本来の効果を発揮できる」と話す。