真矢ミキ「親子の関係は親の老いと共にひっくり返るところがある」ひとりの娘として思うこと
母から受け継いだDNAは愛しい以外の何物でもない
――お母様から影響を受けていると感じるところはありますか。 年々似てくるんですよね。街を歩いていて、ガラスに映った自分を見て、母に似てるなってびっくりしたり。思わず「うわーやだなぁ……」となっちゃいますよね。親には悪いですけど(笑)。 ――似てくることにゾッとすることもあれば、いとおしさを感じることもあったり。 母は優しくて、さっぱりした人。自分で自分のことを優しいとは言えないですけど、さっぱりしてるところはよく似ていると思います。若い頃は母しか手本がないから、必然的に似ちゃうんですけど、社会に出て、いろんな人たちと出会うにつれて、母と似ている部分が嫌で、わざと変えようとしたこともありました。 それが一回り二回り年を重ねて、また母に近づいてるみたいな感覚はあります。たぶん似ることに抗わなくなったのかな。あのDNAが自分にも打ち込まれてるよね、と納得することのほうが増えました。 ――素敵ですね。 うちの母の料理は、何をつくるにしても具材が大きかったんですよ。他のおうちは、お味噌汁もカレーライスも具が細かくて美しいのに、うちはゴロゴロとしていて繊細さに欠けるなと恥ずかしく思った時期もありました。でも今はやっぱり自分も大きく切りますもんね(笑)。細かすぎると食べごたえがないと思っちゃう。 私も還暦を過ぎて、親も見送って。そうなると、このDNAは愛しい以外の何物でもないですね。
撮影/塚田亮平 スタイリング/佐々木敦子 ヘアメイク/平笑美子 取材・文/横川良明 構成/山崎恵
真矢 ミキ