奇跡の神回…菜々緒”鷹野”の主人公としての強さを再認識したワケ。ドラマ『無能の鷹』第6話考察レビュー
菜々緒主演のドラマ『無能の鷹』(テレビ朝日系)が放送中。はんざき朝未の大人気コミックスを原作とした本作は、超有能そうに見える主人公・鷹野ツメ子が実は実は全く仕事ができないという、超脱力系お仕事コメディ。今回は、第6話のレビューをお届けする。(文・まっつ)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】 【写真】菜々緒が奇跡の美しさ…貴重な未公開写真はこちら。ドラマ『無能の鷹』劇中カット一覧
リモートの良いところ、悪いところの詰め合わせ
リモートワークは効率的だ。 パソコンさえあればどこでもいつでも仕事ができるし、満員電車に乗る必要もない。パジャマのまま真剣な顔で会議に出席できるし、起きた瞬間から仕事に向き合うことができる。 コロナ禍以前にもリモートワークはあったが、「コロナの影響は僕たちの当たり前の生活を大きく変えてしまった」という『無能の鷹』第6話で出た意見にも同意できる。 就活生の会社訪問の担当になった鷹野(菜々緒)と鶸田(塩野瑛久)。もう1名の担当者となった開発部の燕谷(今井隆文)はアドレスホッパーでなかなか会社には訪れない。 オフィスに行く意味なんてない、行っても仕事以外の人間関係が煩わしいだけ、無駄なものを省いたおかげで効率的に仕事ができているという意見には個人的には深く頷いてしまう。 一方で、リモートそのものが苦手な人もいる。衆人環視の状況でなければやる気が出ない人や、オンライン会議で相手の反応が見えないとやりづらい鶸田にしたってそうだ。反対側の意見を否定することはできないし、確かに一理あるとも思う。 直接顔を合わせるからこそ生まれるコミュニケーションもあるし、リモートでは決して伝わらない微妙なニュアンスもある。つまりどちらも選択できる現代では併せてうまく使っていくことが必要なのだが、『無能の鷹』はそんなありきたりな結末を出して視聴者を説得したいわけではない。
鷹野の奇跡が世界を越えた
初めて大きな案件を任された鶸田は鷹野とともに並々ならぬ緊張を抱えながらプレゼンへと向かう。しかし、鷹野の案内で連れてこられた場所は目的地とは全く異なる場所。顔の見える相手との直接交渉がモットーの堅実な取引先と、なぜか東武ワールドスクウェアでリモート会議をする羽目になる。 そこで奇跡を起こすのは“いつも通り”鷹野だ。堅実な仕事を求める老舗お菓子メーカー社長・貝塚(ソニン)に対し、「失敗しても覚えてませんから」と返すのは鷹野そのもの。 「確かに広いですけど、十分歩き回れる距離ですよ、このワールドは」というのは東武ワールドスクウェアを指す言葉だったが、貝塚は勘違い。挑戦することを恐れて堅実な経営方針をとっていた貝塚の背中を押す形となり、世界に飛び出すきっかけとなった。 インターネットさえあれば世界といつだってつながることができる、一方でオンライン上の会話では伝わらないこともあるという(鷹野はいつでもどこでもかもしれないが…)、リモートの良いところと悪いところも詰め合わされたような時間は、6話のハイライトとなっている。 その後、会社訪問に訪れた就活生の前でも見事な勘違いを起こし、拍手喝采を浴びた鷹野。ここ数週間はクライマックスでの“奇跡”が主な出番でそれ以外では脇に徹していただけに、今回の活躍ぶりで改めて主人公であることを思い出す。