亀梨和也「何を求めていただいているのか」キャリアを重ね生まれた活動への想い:インタビュー
亀梨和也が、連続ドラマW 東野圭吾『ゲームの名は誘拐』(6月9日午後10時よりWOWOW・WOWOWオンデマンドで放送・配信スタート【全4話】)に出演。広告代理店に務める敏腕プランナー佐久間駿介を演じる。本作は東野圭吾が2002年に刊行したミステリー小説。2003年に実写映画化され、2020年に本作を原案としたドラマが中国で制作された。今回、連続ドラマ化されるにあたり、平成初期の時代背景を令和にアップデートし、現代の世界観で展開していく。インタビューでは、亀梨が佐久間を演じる上でこだわっていたところや、キャリアを重ねて芝居に臨む姿勢の変化、この作品のキーパーソンとなる葛城樹理を演じる見上愛とのやり取りについて話を聞いた。(取材=村上順一) ■キャラクター構築していく濃度をどう上げていけるか ――原作、脚本を読まれて、どのようなことを思いましたか。 スケール感と言いますか、これを映像化するにはとても大変なんじゃないかと感じました。「これ東京で撮れるの?」みたいな。また、今回このチームでどういう風に撮っていけるのか、すごく期待を持った中で、撮影に入らせていただきました。 ――撮影はいかがでしたか。 WOWOWさんとは、『連続ドラマW 正体』以来のタッグを組ませていただいて、前回同様に幸せなキャラクター作りができました。髪型からどういう洋服を着るのか、作中で登場する車に関しても、ああでもない、こうでもないと佐久間という人物にすごく寄り添っていただいたので、改めて環境に感謝しかない現場でした。 撮影は実際に目にしたものでお芝居するというよりは、ここにこういう感じの流れが生まれますと、実際にないものの中で、イメージでお芝居をする時間も多々あったのですが、出来上がりを観て、本当に素晴らしいなと思いました。 ――どのような準備をされましたか。 プラン構築として、映画版も拝見しました。キャラクター構築していく濃度をどう上げていけるか、その説得力みたいなところにすごく気を遣いました。見上(愛)さんとコミュニケーションを取っていくなかで、台本に書かれている以上の何かを生み出す、映像としての説得力にどう辿り着くかという作業に費やしました。 ――クランクインされてからはいかがでした? プライドと恋愛の2本の軸を意識して演じていました。どういうところで説得力を持たせるか、どうイメージを構築していくかということに関しては、撮影前に監督に説明をしていただいて、キャストやスタッフさんと共有していました。ドラマの中でスマホを使ったやり取りもあるのですが、そこの動きは台本に書かれていなかったので、自分なりにどう表現するのか考えながらやっていました。普通にやってしまうと声が漏れてしまうから、手で抑えた方がリアルかなとか。ドラマだけど嘘をなるべく無くすというのはすごく意識していました。 ――亀梨さん演じる佐久間は広告プランナーですが、演じるにあたり、そういう方を参考にされたりしましたか。 話し方であったり動きではないのですが、ビジュアルなどみんなと共有するためにイメージは伝えました。0から1を作る時の段階で、広告代理店の方やイメージに近い方の名前も出したりして、みんなで共有していました。 ――手を使って演じられている場面が多いなと感じましたが、これは意図的ですか。 これは意識的にやっていました。本作のタイトルもそうなのですが、冒頭のシーンでテレビゲームをプレイしていたので、手を使うことがそういったところとリンクしたらと思いました。目であったり、表情で伝えられるものもあるけれど、今回はボディランゲージを有効的に使っていこうと思って。やりすぎないように気をつけつつも、意識的に手を使うことは、自分の中でキャラクター作りの裏テーマとしてありました。 ――見上愛さんとは、現場でどのようなやり取りをされましたか。 どこまで見上さんとの関係値を持っていけるのかというのは最大のテーマでした。自分が思うところにちゃんとたどり着かなければ、納得できない気がしていたので、その思いを早い段階で見上さんにも伝えて、現場だけの時間では、その関係値を作るにあたりちょっと足りないなと感じていたので、マネージャーさんも含めてなのですがお食事に誘いました。おいしいご飯を食べながら、いいコミュニケーションが取れたと思っています。 ――座長としてはどんな意識で現場に臨んでいましたか。 座長として入る現場とそうではない現場では、振る舞いとして意識は全然変わります。座長として現場を構築していくというのは、僕がある程度方向性を示さないといけない。それはお芝居の役割としてもあるのかなと感じています。その立ち振る舞いは役によって変わるところもありますが、今回の作品に関してはある程度僕がちゃんと座長として立つことで、現場がスムーズに行くんじゃないかなと思いました。 ■より多くの視点を持ちたい ――ドラマでは予想外なことが多々起きますが、亀梨さんはプラン通りに進むのと、思ってもみなかったことが起きるのとでは、どちらに楽しさを感じますか。 何が起きるかわからない方が本質的には好きだと思っています。そう話すと、「亀梨君って自信があるんだよ」と周りから言われることもあるのですが、決して自分の中で「自信があるから何が来ても大丈夫 」という考え方ではないんです。僕はどこか行き当たりばったりといいますか、日常でいうとプラン通りに生きられないタイプです。僕の最近のテーマで、ちゃんとプランを立てたり、計画を立てて生きるということをもう少し取り入れていかなければと思っています。 プランを立てながら生きていた時期もあったと思います。朝起きて家を出るまでをどうするか、その程度だったらプランを立てられると思うのですが、1歩外に出て団体行動となると、思いがけないことが人並み以上に僕はある方なので、構築しすぎたプランに対して、それが崩れた時のダメージであったり、人に対する求め方がストレスになっていくこともあります。ストレス回避のためにプランを立てなくなった感じもあって、それが今のベースになっているかもしれないです。 ――さて、活動の姿勢として、今どんな思いがありますか。 作品とか現場にもよるとは思うのですが、基本的には求めていただいたことに対してどう返せるかというのは、常に自分のスタンスとしてあります。自分がどう表現したい、どう思われたいというよりも、僕に何を求めていただいているのか、というところをちゃんと理解したいです。 若い頃は自分はこれがいいというものに対しての自信、若さゆえの自信がいま以上にあったと感じています。今は何かを構築していくときに、より多くの視点を持ちたい、意見を取り入れたいんです。何かを提示してもらったからこそ、言えることもありますし、こちらが何かを提示したからこそ生まれるものもあると思っています。 正直、言われた通り動く方が一番楽だと思うんです。でも、僕はそうやって生きてこなかったタイプなので、今もその精神は変わらずにあると思っています。僕はこういう見られ方をしたくない、こんなことはしたくないという感覚が、そんなにないんです。「オレは物じゃない。人なんだ」と思いながらお仕事していた時期もあったのですが(笑)。今は望まれているものをよりよく構築するにはどうしたらいいのか、どうやったら楽しんでもらえるのかを考えます。年々ちょっとずつ角度は変わってはきていて、共同作業をちゃんと楽しみたいという思いがあります。 (おわり)