<ボクシング>村田と戦った男がTKOデビュー
「今は、まだ語るときじゃないですが、いつか村田さんにプロでリベンジしたいという気持ちはあります」 プロ入りを相談した石田順裕に「世界チャンプになりたいのならば東京へ行け。ワールドスポーツなら会長もしっかりしているし寮もある。藤原トレーナーに教えてもらえ!」とアドバイスを受けて上京。同じく関西出身でエディタウンゼント賞トレーナーでもある藤原俊志のいるワールドスポーツの門を叩いた。 アマチュア時代に41戦を戦い30勝11敗で、国体2位、全日本3位の経験を持ちながら、この日のデビュー戦まで、1年と2か月ほどの時間がかかった。昨年11月に階段から落ちて左足首を捻挫。予定されていたデビュー戦が延期になっていた。 「ボクシングができなかった期間が長く感じました。ランニング量がまだ不足しています。それに課題のジャブからのボクシングもできなかった」 アマチュア時代は、ガムシャラに前に出てプレッシャーをかけるブルファイター。この日、相手のパンチを外してタイミングよく打ち込んだ左フックなどは、プロ転向してから覚えたパンチで、藤原トレーナー曰く、「教えたことがすぐにできる器用さを持っている」という。 「パンチ力はあります。天然ボケですが、気持ちも強い。ただまだガードもルーズだし、左フックも頭が残ってしまっている。今日は、パンチももらっていないので、ちょっと苦しむ試合をしてからじゃないですかね。この先のことを考えるのは」 これだけは教えても教えられない天性のパンチ力を重量級ボクサーが持っているのは魅力だろう。 村田を見ればよくわかるが、金メダリストでさえ、重量級が、世界のベルトを獲得するのは一筋縄にはいかない。それでも、竹迫自身は「世界チャンピオンになるために上京したんですから。夢はそこです」と言う。TKO勝利の報告を受けた元師匠の石田も「世界へ行けると思うんですよ。僕が果たせなかった村田との試合を竹迫にやってもらいたいな」とエールを送った。ゴロフキンと戦った男のエールは心強い。 次戦は、9月29日、後楽園でエルフェロス・ベガ(平石)とのB級トーナメントの決勝戦。 「手数が多い印象のあるボクサーですが倒したい」 村田のアマチュア最後の対戦相手だった23歳は、力強くプロへの第一歩を踏み出した。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)