乱れなきオートマティズムで光る町田浩樹の“個のチカラ”。ユニオンSGの上位進出は時間の問題「僕はそんなに焦ってない」【現地発】
チームの芯になる3CB+アンカーのダイヤモンド
昨季のユニオン・サン=ジロワーズは惜しくも2位でリーグタイトルこそ逃したものの、110年ぶりにベルギーカップを制し『古豪復活』を強く印象付けた。 【画像】トップリーグに続々参戦!2024年夏に海外で新天地を求めたサムライたち しかし、今季は前節(8節)を終えた時点で16チーム中12位と冴えないスタート。少し心配しながら9月29日のコルトレイク戦に駆けつけたのだが、攻撃陣の個のチカラは際立ち、守備もしっかりオーガナイズされており、終始相手を圧倒し続け3-0で危なげなく勝利した。最近4試合ノーゴールだったのが嘘のようなゴールラッシュだった。 テクニックのイバノビッチ(20歳/U-21クロアチア代表)、スピードのフセイニ(22歳/ガーナ国籍)。この2人が組む2トップは強力だ。前者は移籍市場の終わり頃に加入したということもあり、コルトレイク戦で初ゴールを決めたが、7月からチームに合流した後者はすでに3ゴール・1アシストをマークしている。 この2人は21−22シーズンの強力2トップ、ファンザイル&ウンダフのようなコンビに成長していく可能性を秘めている。 「ベルギーリーグは『個のチカラ』でサッカーをする」と選手を含め、いろいろな人から話を聞く。しかし、ユニオンSGはかなり組織的にサッカーをする。「チームの芯」になるのはMF陣ではなく、3CB(マカリスター、バージェス、町田浩樹)+アンカー(ファンハウテ)の4人。彼らは攻守の両局面でダイヤモンドを形成しながら、常にお互いの位置を確かめ合っている。 左CBの町田がライン際にポジションを取ってビルドアップする時は、残りの3人も同サイドに寄ってくる。町田が敵陣深くまで攻撃参加した際はダイヤモンドの形が崩れるが、3人はしっかりカウンターに備えながら町田の帰りを待っている。 ウォーミングアップから彼らは攻守を想定しながらダイヤモンドを作って、念入りに動きをチューンナップしていた。 「昨シーズンからこの4人は変わってないんで、安心感がすごくあります。そんな簡単には崩れないですね。今季は1回、(ウェステルロー戦で)4失点した試合があったんですけど、それはちょっとバタバタしてしまった。だけど僕たちは9試合で6試合、クリーンシートを記録しているんです」 攻守に及ぶ4人の乱れなきオートマティズム。そのうえで町田の「個のチカラ」が光る。その一つが190センチの恵まれた体躯を活かしたデュエル。しかし、そのデュエルは「身体をぶつける」のではなく「身体を入れる」デュエル。その分、町田の1対1の守備は絶妙な間合いと余裕がある。 「こっちの選手はやっぱり身体をぶつけたがるんで、あまりぶつからないようスマートに守備をしたいというのがあるんです。僕自身、痛いのが嫌なんでね(笑)。あまりデュエル勝負にならないようにしてます」 9月のワールドカップ・アジア最終予選の2試合で「町田浩樹は今が旬」と感じた人も多かったのではないだろうか。とりわけファイナルサードで彼が蹴り込んだ、強くて低い正確なラストパスは見る者を驚かせた。 ユニオンSGでは今年に入ってから得点力を高め、ベルギーカップ準決勝の対クラブ・ブルージュ戦第1レグ(1-2)、決勝戦の対アントワープ(1-0)で2試合連続ゴール。リーグ戦のプレーオフでもクラブ・ブルージュ相手に後半アディショナルタイムに決勝ゴール(2-1)を決め、敵地のスタジアムはシーンと静まりかえった。 このオフは華燭(かしょく)の典を挙げた。さらに早稲田大学人間科学部の通信制を卒業と、ピッチ内外で充実の日々を過ごしている。
【関連記事】
- W杯出場枠が“4.5→8.5”に増加も「アジア最終予選の難しさはさほど変わらない」。識者がそう語る根拠とは?
- 「復帰デカすぎる」冨安健洋がついに全体練習合流でファン歓喜!CLパリSG戦の緊急出場は?「テンション上がって寝れなくなった」
- 「彼の大ファンだ」ドルトムントのシャヒン監督が古橋亨梧を絶賛!「動き出しが素晴らしい」「戦術的にとても賢い選手」
- 「まるでクルトワのようだった」3失点を喫したパルマGK鈴木彩艶、現地メディアの評価は分かれる「何度も不正確なプレーがあった」
- 「エンドウはカルトヒーローと呼ぶにふさわしい」遠藤航は戦力外ではない! 出番激減も現地メディアは重要性を強調「このベテランは必要な時に力を発揮できる」