「もっと上手くなりたい」参加選手は全員80歳以上! 超高齢サッカーリーグの尽きせぬ向上心
「力では若い人には勝てんから、これからは頭で勝負します」
O-80リーグの栄えある初代王者にはレッドスターが輝き、表彰式のあと、2人の選手に話を聞いた。 まずはホワイトベアの半田進さん(86歳)。 「ぼくは若い頃からプレーしているみんなと違って、50歳からサッカーを始めたんです。練習は週2、3回やっていますよ。ボールを蹴ったあとに飲む日本酒が旨(うま)いんです。今日のプレーですか? 全然ダメです。2度もチャンスが来たのに、下手くそなもんだから慌てて外しちゃった。少しは上手くなって、もっと点を取りたいねえ」 続いて、優勝したレッドスターの竹内民雄さん(85歳)。前出の野村さんとともに高校時代、国体を制した実力者は、自らの履歴書にO-80初代王者という新たな栄光を加えることになった。 「体は日々衰えていくし、今日は相棒の野村がいなかったから調子が出なかったなあ。長くプレーできる秘訣? それは野村というライバルがいるのが大きいね。でも若い人がどんどん出てくるから、押し出されないように必死ですよ。力では若い人には勝てんから、これからは頭で勝負します。私が尊敬するイニエスタ、彼なんてタイミングで勝負しているでしょう。私もそれを極めて、もっと上手くなって、またここに帰ってきますわ」 もう歳だ、体が動かんとボヤきながらも、尽きることのない上手くなりたいという思い。これがある限り、彼らのサッカー人生に終わりはない。
【Profile】
熊崎 敬 フリーライター。1971年1月生まれ、岐阜県出身。明治大学を卒業後、サッカー専門誌の編集者となり、2000年フリーランスに。サッカーを中心に、野球、ラグビー、麻雀、エスニック料理など幅広いジャンルの取材・執筆を行なう。『サッカーことばランド』(共著・ころから)ほか著書多数。