RMN編集長の新譜レビュー【空想委員会/The Winking (O)wl/tricot】
「THE PAGE」に北海道の地域ニュースを寄稿している筆者ですが、もとはといえば札幌発信の音楽WEBマガジンを主宰しています。そこで月に1回、おすすめの新譜のレビューをお送りしていきます。今回のテーマは「幻想・開花・歌舞伎」です。 RMN編集長の新譜レビュー【NICO/Leola/DIZZY MIZZ LIZZY】
メンバーが最高傑作と自負する『ビジョン/二重螺旋構造』
まずご紹介するのが、4月27日リリースの空想委員会のシングル『ビジョン/二重螺旋構造ストラト』。最新アルバム『ダウトの行進』がリリースされてからおよそ2か月、ペースの速いリリースとなります。 空想委員会は、「共感したら負け組」というキャッチフレーズでデビュー。非リア充の気持ちを歌いつつ、2014年にリリースしてからは恋愛の裏側にある闇をえぐり取るバンドに成長しました。 実は『ダウトの行進』のプロモーション時に、メンバーがオフレコで教えてくれたのが「次のシングルはアルバムを超えていると思います」ということ。あまりこのような自己アピールをしてくるタイプではないメンバーなので、「これは本当に自信があるんだな」と感じました。 そしていざ作品が届いてみると……空想委員会の3人が自信を持って送り出したのがわかる完成度です。メロディライン・アレンジ・歌詞、どの面においてもワンステージ上がった印象。両A面扱いの『ビジョン』『二重螺旋構造』はもちろんですが、カップリングの『AI』がこれまた素晴らしい出来。3曲でここまでのバリエーションを提示した空想委員会、間違いなくキャリアハイ作品といって良いでしょう。
『BLOOMING』がJ-ROCK界の未来に花を咲かせる
次にご紹介するのが、2015年11月にメジャーデビューを果たした4人組ミクスチャーロックバンドThe Winking (O)wl。紅一点の女性ヴォーカル・Luizaさん(日本とルーマニアのハーフ)の愁いの帯びた歌声と、テクニカルな楽器陣が融合して奏でられるサウンドは、ガールズヴォーカルにおけるJ-ROCK界の未来といっても過言ではない完成度の高さを誇ります。 例えば「音域が広い」「ヴィジュアルが良い」という女性ロックヴォーカリストは少なからず存在するのですが、Luizaさんはミクスチャーロックというジャンルに歌心を持ち込むという、これまでありそうでなかったタイプです。明るいメロディの中に潜む切なさ、暗いメロディの中に潜む前向きさという相反する形容詞を表現し切っているLuizaさんのヴォーカルは無限大のポテンシャルを秘めています。 5月11日リリースの1stアルバム『BLOOMING』は、タイトル通りその実力が開花した作品。1stアルバムでこのクオリティ……末恐ろしいバンドが、J-ROCK界の未来を担ってくれることでしょう。