【都知事選】“掲示板ジャック”どう対応する?公選法で『ポスターの内容』まで踏み込むのは難しい...『営利性』を規制する法改正なら可能か 弁護士が解説
掲示板の枠の売買を禁止する規定はない
今回の掲示板ジャックは法律的に問題なのかどうか。公職選挙法では、他の候補者の選挙活動を代わりに行うことや虚偽記載は処罰対象となります。ただ、掲示板の枠の売買を禁止する規定はないため、現状、誰の写真や名前を載せるかは“候補者の自由”ということになるようですね? (亀井正貴さん)「そうですね。何で規制するかという場合に、例えば刑法で規制する、条例で規制する、それ以外の風適法で規制する。その中で今、問題となっているのは、公職選挙法でどうやって規制するかということなんですね。論点というか局面、領域が違うわけです。その観点からすると、やはり選挙活動の自由とか政治活動の自由ということであれば、ポスターの内容についてチェックを入れるというのはやっぱり問題。ただ、今回の営利性というのはひどいと思いますから、例えば公職選挙法を改正するんだったら、抜本的に技術的なところまで変えてしまう。そうじゃないんだったら、あまり内容には踏み込まずに、営利性を否定させるような。有償性とかを出してくるのであれば、それは罰則で強化して規制していくというふうな、一部の限定した改正が妥当ではないかと思いますね」 東京都選挙管理委員会によりますと、この寄付行為が妥当かどうかは今後の司法の判断に委ねられるということです。
今回の都知事選の選挙ポスターをめぐっては、この他にも問題が挙げられています。1つは、ほぼ全裸の女性ポスターが貼られ、警視庁は候補者本人に都の迷惑防止条例違反になるとして警告。候補者は「合法の範囲内だと思っていた」ということですが、その後、ポスターを撤去しています。また女性専用風俗のポスターも貼られました。警視庁はNHK党の立花孝志党首に対して警告を行い、その後、ポスターは撤去されています。 これ以前の選挙をめぐっては、つばさの党の関係者が“選挙妨害”を繰り返して動画配信をして、表現の自由だと主張していましたが、公職選挙法違反の疑いで逮捕されました。法律の隙間を縫ったような行為が続いているようにも感じますが、こうした動きについて亀井さんはどう見ているのでしょうか? (亀井正貴さん)「私は候補者の意識というのが下がってきているのではないかなと思うんですよね。政治目的でやる、かつ品位を保ちながらやる、という意識が下がってきているのじゃないかと思います。問題なのは、先ほど申し上げましたように、公職選挙法の改正まで踏み込むかということなんですが、今回の事例では、風適法で適用できていて、つばさの党の件は今の公選法の現行法で対処できているんですね。営利目的の件はなかなか規制できないので、先ほど申しましたような公選法の改正によって、営利性とか有償性とかその辺のところを断ち切るような規制は、私は一応可能性としては考えられるかなと思います」