長狭高校(鴨川)で「命の大切さ学ぶ教室」 1年生が交通事故で娘失った母の思い聞く(千葉県)
鴨川市の長狭高校で、犯罪被害者遺族による講演「命の大切さを学ぶ教室」が開かれた。1年生146人が、悲惨な交通事故で娘を亡くした被害者遺族の思いに耳を傾けた。 「命の大切さを学ぶ教室」は、中高生を対象に犯罪被害者やその遺族が経験した思いを直接語り掛けることで、遺族を含む被害者の思いや立場を理解してもらおうという取り組み。命の大切さを知り、いじめや暴力、ネット上での誹謗(ひぼう)中傷をなくすなど、罪を犯してはいけないという意識を育てようと行われている。 この日は、2019年4月に木更津市内で発生した交通事故で、当時小学3年生の次女を亡くした安藤正恵さん(50)が講演。友達と登校中に、自宅から5分ほど歩いた片側2車線の県道にある横断歩道を青信号で横断していたところ、信号無視で直進してきた軽自動車にはねられる悲惨な事故だった。 「事件や事故に巻き込まれないように、通学時はなるべく付き添うようにしていた。一緒に登校していた友達のご家族も同じ思いだったが、この日はたまたま付き添っていなかった」と当時を振り返る。「あの時一緒にいたら助けられたのか、身代わりになれたのか。そもそも時間がずれていたら良かったのか」と考えを巡らせたこと、加害者はこの事故の前にも自転車との事故を起こし、家族から運転をとがめられていたこと、一緒に事故に遭った友達は、一命をとりとめたものの要介護状態が続き、23年8月に亡くなったことなどを語った。 安藤さんは「皆さんもこれから運転免許を取って、車を運転すると思います。運転手は、同乗者だけでなく、歩行者や自転車、対向車の人の命を預かっていることを忘れないで」と呼び掛けた。 生徒の川大悟さんは「事故は当事者の人生だけでなく、その周りの人の人生も変えてしまう。今後免許を取る予定なので、今回の話を肝に銘じて、安全運転をするようにしたい」と感想。現在は、自転車通学をしているといい、「自転車も加害者になり得る。スピードの出し過ぎや安全確認などを徹底したい」と気を引き締めていた。