トランプ氏、免責特権めぐり上訴も「判決が覆ることはない」米最高裁の重みと権威
双日総合研究所チーフエコノミストの吉崎達彦が2月14日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。2020年のアメリカ大統領選挙をめぐる事件で免責を求め、最高裁に上訴したトランプ前大統領について解説した。
トランプ前大統領、免責特権求め最高裁に上訴
2020年のアメリカ大統領選挙をめぐる事件で、連邦高裁がトランプ前大統領の在任中の行為に関する「免責特権」を認めない判決を下したことを受け、トランプ氏は2月12日、判決を保留するよう連邦最高裁に訴えた。 飯田)議事堂襲撃事件に絡む話ですが、これが大統領選挙にも影響を及ぼす。 吉崎)ややこしいのが、コロラド州の最高裁が出した「州の予備選挙からトランプ氏の名前を外すべきだ」という訴訟も最高裁に持ち込まれ、口頭弁論が行われていて、最高裁に2つのトランプ氏の案件があるのです。コロラド州の方は多分、門前払いになると思います。放っておいたら全米で大混乱が起きますからね。実際、コロラド州の投票用紙にも既に「トランプ」と記入して印刷されています。3月5日はスーパーチューズデーですから。とりあえず入れて、もし判決が出ても上から消せばいいのです。 飯田)二重線で消せばいい。
トランプ氏、自らの裁判で「大統領は退任後も免責されるべきだ」
吉崎)ただ、免責特権の方はとんでもない話なので、トランプさん側が負けると思います。日本でも国会議員には不逮捕特権がありますよね。議員の言論の自由を守るため、国会会期中は逮捕されませんが、国会が閉会すると東京地検に逮捕されてしまうわけです。それは当然なのですが、トランプさんが今回言っているのは、「大統領は退任後も免責されなければいけない。なぜなら、トルーマン大統領が原爆を投下したときのような決断は、あとで自分が逮捕されるかも知れないと思ったらできないだろう」と。それを聞いたときに「面白い理屈を考える人だな」と感心したのですが。 飯田)でも、それを言ってしまうとウォーターゲート事件はなくなってしまいますよね。 吉崎)「大統領は何をやってもいい」ということになるので、いくら何でも無理だと思います。また、トランプ前大統領はいま候補者としてトップを走っており、「その訴えを有権者に聞かせないのは問題だ。司法は選挙妨害をしている」という話まで出ているので、正直どうかなと思います。