トラウマ級の悲劇…史上最も胸糞が悪い学園モノ日本映画(4)最低最悪のサイコパス…惨劇を生む生徒への洗脳
エンターテイメント作品の設定として定番の学園モノ。同年代の人間が過ごす学校という場所には、それだけ多くの出来事が起こりやすいということだ。これまでも友情や恋愛に限らず、SF、アクション、ホラーなど、多くのジャンルの作品が生み出されてきた。そこで今回は、学園で悲劇が起こる映画を紹介する。第4回。(文・ニャンコ)
『悪の教典』(2012)
原作:貴志祐介 監督:三池崇史 脚本:三池崇史 出演:伊藤英明、二階堂ふみ、染谷将太、林遣都、浅香航大、水野絵梨奈、KENTA、山田孝之、平岳大、吹越満 【作品内容】 裏ではサイコキラーである人気教師・蓮実聖司の蛮行を描いたサイコホラー。貴志祐介による原作は、第一回山田風太郎賞受賞、第144回直木三十五賞、第32回吉川英治文学新人賞、2011年本屋大賞にノミネート作された話題作だ。 ジャパニーズホラーの巨匠である三池崇史が監督を務め、サイコキラーである、ハスミンこと蓮実聖司役を伊藤英明が演じた。 【注目ポイント】 教師である蓮実聖司(伊藤英明)は、学校内では非常に魅力的かつ誠実な教師。周囲から評判の良い人物であるが、その本質は両親を含め自らの邪魔となる存在は、殺してでも排除する生粋のサイコパスである。 そんな蓮実により、本来は安全な場所であり聖域である学校が地獄に変貌する。身体的・心理的に未発達な子供である生徒たちに極度のストレスを与え、普段では考えられない行動を引き起こされる。 その結果、多くの生徒たちが冷静な判断が出来ず集団パニックに陥り、蓮実の毒牙にかかり、悲惨な死を迎えることになる。不謹慎ではあるが、未成年だからこそ引き起こす予想外の行動、集団パニックが、映画の面白さに拍車をかけているのは疑うべくもない。 もちろん蓮実による洗脳の影響もあると思うが、生徒たちは「最後まで蓮実を信じたい」という気持ちがあり、だからこそ蓮実に隙を突かれてしまう。特に蓮実と恋仲になる安原美彌は、経験の乏しさから蓮実に騙され、都合が良いように利用され、最後は自殺に見せかけて殺されてしまう。 伊藤英明の振り切った芝居もさることながら、未成年特有の不安定さ、危うさを的確に描いている点も本作の魅力を高めることに貢献している。
ニャンコ