「責任が重いのは嫌なので一生平社員でいてもいいですか?」”出世をしたくない”若者たちと、潜む”老後への影響”とは?
老後への影響を忘れてはならない
出世の有無による影響は老後も続きます。その一つに年金に関することがあり、厚生年金の受給額は現役時代の収入におおむね比例しています。 一例として、月収28万程度で賞与が年2回(年収およそ400万円)の平社員として働き続けた場合の年金受給額を調べてみましょう。計算には厚生労働省の公的年金シミュレーターを使い、設定は下記のとおりとしました。 ●生年月日は1995年5月1日 ●20歳から21歳まで学生として国民年金に加入 ●22歳から59歳まで年収400万円の正社員として働く この場合、年金見込み受給額は158万円、月額換算するとおよそ13万円となります。令和6年度現在における厚生年金の平均受給額はおよそ14万4000円のため、上記の年金見込み額は平均額よりも1万4000円ほど低い額になります。 老後、年金13万円で生活することができるのか、不安に思う方もいらっしゃるでしょう。老後までに十分な資金を貯めることができればいいのですが、誰もがそうできるとは限りません。 このように、今出世を拒み収入が低いままだと、年金受給額が思うほどの額にならず、老後に後悔する可能性もあります。
まとめ
責任が重くなることを嫌がり、一生平社員でいたいと考える若者は決して珍しくありません。しかし、将来的には同世代と大きく収入の差がついたり、結婚や子育て、老後の生活などで必要となる支出を思うように賄えなくなったりすることもあり得ます。 もし、出世を回避し続けたいのであれば、今だけでなく将来の生活や収入についても視野に入れた広い視点から考え、準備をしていく必要があるでしょう。 出典 東晶貿易株式会社 出世欲に関するアンケート 厚生労働省 令和4年賃金構造基本統計調査の概況(14ページ) 公的年金シミュレーター 令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況 執筆者:柘植輝 行政書士
ファイナンシャルフィールド編集部