ポクロウシク方面の交差点にロ軍が繰り返し装甲車投入 ウクライナは戦車鹵獲に成功
ウクライナ東部ドネツク州の要衝ポクロウシク市のすぐ南東に位置するセリドベ市の東の外れに、道路と高架鉄道が交差する地点がある。現在、ロシア軍とウクライナ軍がセリドベ方面で繰り広げている激しい戦闘で、この交差点がにわかに焦点になりつつある。 4日、ロシア軍の装甲車両2両がこの高架下で歩兵を降ろした直後に、ウクライナ軍のT-64とみられる戦車に至近距離から射撃されるなどして撃破された。そして5日、ウクライナ軍の似たような、もしかすると同じ戦車が、ここで大胆な「強奪」をやってのけた。 遺棄されたロシア軍のT-72戦車を見つけ、奪い取ったのだ。 乗り捨てられたがまだ使えるロシア軍のT-72をウクライナ側が鹵獲するのは初めてではない。今年4月には、ウクライナ国家親衛隊の第12特務旅団アゾフ(通称「アゾフ旅団」)の部隊が、東部のルハンシク州クレミンナ市近郊のテルニ村付近で、ロシア軍の動かなくなっていたT-72を手に入れるべく3夜にわたる危険な作戦を敢行した。旅団員らはこの戦車に忍び寄ってバッテリーを交換し、それに乗り込んで両軍の陣地の中間地帯を突っ切り、自陣の安全な場所まで持ち帰ることに成功した。 今回の鹵獲が少し違っていた点は、兵士らがほとんど装甲による保護の外に出ず行われたことだ。セリドベには、ポクロウシクに対して側面からの攻撃を狙うロシア軍の第2諸兵科連合軍が迫り、きわめて危険な場所になっている。そのためT-64の乗員たちは、重量38tほどの自車で41tかそこらのT-72を牽引することにした。 T-72が5日、高架下まで進んできて、前日の小競り合いで破壊された車両の残骸のそばに隠れるように停車するところを、ウクライナ国家親衛隊第15作戦任務旅団(通称「カラダフ旅団」)のドローン(無人機)は上空から監視していた。 追加装甲を備え、砲塔に偽装を施したT-72は、北側の何かに向けて125mm砲弾を少なくとも1発発射している。その後、驚くべきことに乗員3人は車外に脱出する。逃走する彼らをウクライナ側のFPV(一人称視点)ドローン少なくとも1機が攻撃している。