早くも決勝弾3発! ハマの主砲・筒香嘉智インタビュー「試合に出る喜びも、力をくれる応援も、当たり前のことじゃない」
米球界挑戦中も球団が空けて待っていた背番号「25」を再び背負い、ハマの主砲が帰還した。変わらない勝負強さと同じくらい印象的なのが、キャプテンの重責を担っていた頃とは違う柔らかい表情。異国でのタフな経験と、今の率直な心境を語ってくれた。 【写真】筒香の挨拶代わりの逆転スリーラン ※この取材は、5月24日に行なわれたものです。 * * * 横浜に筒香嘉智(つごう・よしとも)が帰ってきた。2019年10月7日のCSファーストS最終戦。雨のハマスタ(横浜スタジアム)で阪神に敗れ、キャプテンは大粒の涙と共に後輩たちへ思いを託してアメリカへと旅立った。 あれから4年半。どんな環境に置かれようと「何かを為すまでは」と挑戦を諦めるそぶりも見せなかった筒香が、あの日の延長線上にあるかのような今年4月18日の雨のハマスタで、「横浜DeNAで優勝したい、するという思い」をモチベーションに復帰を果たした。 その姿をひと目見ようと集まった9600人の観客、そして多くの関係者が、久しぶりに見る筒香の変化を感じていた。表情が柔らかい。キャプテンとして触れればやけどしそうな緊張感をまとっていたあの頃とは異なる、柔らかく、強い芯を感じさせた。 ■「出たり出なかったり」が一番しんどかった ――5年ぶりにインタビューさせていただきますが、失礼ながら雰囲気がずいぶんと柔らかくなりましたね。 筒香 僕自身はまったく意識はしていないんです。確かに皆さんから「変わった」とは言われるんですけど、試合中は変わんないですよ(笑)。ただ、自然な自分でやらせていただいているとは思います。 ――それはキャプテンの重責を下ろしたからなのか、それともアメリカでの日々がそうさせたのでしょうか。 筒香 どうなんでしょう。この5年間、メジャーからマイナーまでいろんな環境でプレーさせていただいて、自分自身でも「変わったな」と思う面はありますし、それくらいアメリカで起こったことは......。話し始めたらすごく長くなってしまうのですが、本当に貴重な経験をさせていただいた日々でした。 ――アメリカ挑戦1年目の2020年にコロナ禍に突入したことに始まり、トレードやDFAもあり、マイナーでは満足な食事もなくウーバーイーツや自炊の生活、見知らぬ土地と人、言葉の壁。期待されていたような結果は残せなくても、常に「うまくなるほう」を選んで、やれることはすべてやってきたと聞きます。 筒香 すごく大きかったのは、試合に出られないという経験でした。そういう立場にいる選手の気持ちが、本当の意味でわかったような気がしています。もちろん毎日出続けるのも、しんどいことはいっぱいあるんです。 でも僕の中では、「出たり出なかったり」という状態が一番難しく、しんどいことでした。それがあったから、今ベイスターズに復帰して、試合に出られる喜びというものも再度認識できているように思います。 ――5月6日、ハマスタでの1軍復帰戦で、最初のレフトフライを捕った後のホッとした表情が印象的でした。 筒香 あの試合はいつもより緊張していたと思います。昔はなかったレフトのウィング席ができて、かなり風が変わったと聞いていましたし、実際に守ってみても本当に難しくて怖かったですよ。「早く1球飛んできてくれないかな」と願っていました(笑)。