大の里、若隆景に押し出され2敗目 圧倒されての完敗に支度部屋でも無言貫く【大相撲九州場所】
◇15日 大相撲九州場所6日目(福岡国際センター) 吹っ飛ばされた土俵下で大の里は、両手を腰に当てて肩を落とした。若隆景の低い当たりにてこずって右を差せず、安易に引いたのを元関脇の優勝経験者に見逃してもらえなかった。一気に押し出され、大関として初めて結びで敗れて2敗目。初顔合わせの秋場所に続いて圧倒され、若隆景が天敵となりかねない完敗だった。 支度部屋でもショックをにじませた。今場所は勝っても負けても、淡々と取材に応じてきたがこの日は様子が違った。腰を下ろすことなく、報道陣に背を向けて着替え。帰り際に展開について問われたが、足を止めずに無言を貫いた。 土俵下で一番を見守った粂川審判長(元小結琴稲妻)は「右を差せず、苦しくなって引いた。負け方も悪い。攻められて引いた。良いところなし」と辛口で振り返った。 その上で「右を差せない時の対応ですよね。差せないと引いてしまう。皆、そこを突いてきますよ」。上位陣の研究と対策を上回れなければ、待っているのは黒星。今後も見据え鋭く指摘した。 八角理事長(元横綱北勝海)は、取組後に「若隆景の立ち合いが良かったね」のひと言のみで、大の里への言及はなし。新大関の完敗ぶりが浮き彫りになった。 師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)から大関時代の経験を踏まえ、場所を5日間ごとに3分割し、4勝1敗をノルマとする考え方を教わってきた大の里。13勝で2度目の優勝を果たした秋場所は初日から11連勝で勢いに乗り、12勝で初優勝の夏場所は終盤5日間に2敗で入った。 豊昇龍らトップとの星の差は2つ。2006年夏場所の白鵬以来、18年ぶりの新大関Vへ大の里が、早くも踏ん張りどころを迎えた。
中日スポーツ