【プロキオンS】小倉開催2回は二桁人気が2頭食い込む大波乱 多様な条件のダート重賞を「記録」で振り返る
兵庫からきた名手がJRA重賞初制覇
昨年は594kgのドンフランキーが勝利したプロキオンS。当然ながら、プロキオンS勝ち馬の最重量であり、次点となるアルクトスの548kgの大差をつけている。 ドンフランキーは前走から4kg減での出走だったというから驚きだ。ちなみに、過去にプロキオンSを制した馬のうち、500kg台は17頭で400kg台は14頭となっている。 歴代の勝ち馬で馬体重の軽い順に並べると、3位が2007年ワイルドワンダー(452kg)、2位が1991年ストロングパワー(444kg)、1位が2008年ヴァンクルタテヤマ(432kg)となる。ワイルドワンダーとストロングパワーは1番人気での勝利だったが、ヴァンクルタテヤマは7番人気での勝利だった。 ヴァンクルタテヤマはデビュー戦以降、一戦を除いてダートを走ってきた生粋のダート馬。特に得意としていたのがダート1000m戦であった。デビュー勝ちを含め、プロキオンS出走までにあげた5勝のうち4勝がダート1000m戦という極端なまでの戦績である。プロキオンS制覇後も一戦だけだが出走し、その北海道スプリントCでも勝利をあげた。 そんなダート1000mのスペシャリストであるヴァンクルタテヤマだが、馬体重はデビュー時が422kg、4歳夏には418kgだった小柄な馬体の持ち主。重賞初挑戦となったプロキオンSでは432kgでの出走であった。 ヴァンクルタテヤマの鞍上を務めたのは、赤木高太郎騎手。赤木騎手は兵庫競馬出身の名手で、中央に移籍後も2006年度フェアプレー賞を受賞するなど活躍した。地方時代から海外挑戦などを意欲的に行う積極派で、猛勉強をするなど努力家の一面も持つ騎手であった。 そんな赤木騎手、唯一のJRA重賞制覇が、このプロキオンS。早めに抜け出すと、単勝1.7倍の圧倒的1番人気ワイルドワンダーの追撃を振り切った。 舞台も様々、距離も様々。多様な条件で開催されドラマを生み出してきたプロキオンS。今年のドラマやいかに──。 ライタープロフィール 緒方きしん 競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。
緒方きしん