骨髄バンク関心持って 救える命守れない…福島県内ドナー不足長期化 若い世代の協力不可欠
白血病患者らへの骨髄移植を仲介する骨髄バンクで、ドナー(提供者)の登録者数の伸び悩みが長期化している。新型コロナウイルス感染拡大の影響で減少して以降、回復していない。ドナーは55歳を迎えると登録が抹消される。世代人口が多い「団塊ジュニア」と呼ばれる第2次ベビーブーム世代(1971〈昭和46〉~1974年生まれ)が対象年齢を過ぎると登録者の減少に拍車がかかると危惧される。福島県骨髄バンク推進連絡協議会は「救える命を守りたい」と、若い世代のドナー登録に理解と協力を求めている。 県協議会によると、競泳の池江璃花子さんが白血病を公表し関心が高まったことでドナーは一時増えた。その後、コロナ禍の影響で減少に転じた。外出自粛や大学・企業に派遣する献血バスでの呼びかけが困難になったことなどが要因。10月末現在、県内の登録者は約1万4037人でコロナ禍前に比べ約千人減ったままだ。 骨髄バンクは18歳から54歳までの健康な人なら誰でも登録できる。ただ、ドナーの安全のため年齢制限を設けており、55歳以上になると登録できない。年代別では40代の6039人が最も多く、次いで30代の3812人、50代の2839人、20代の1266人と続き、10代の81人が最少。40、50代が半数以上を占めているのが現状だ。若い世代の理解と協力をどう得るかが課題となっている。
ドナーの登録から提供までの流れは【図】の通り。登録後、最初の検査から採取までに2~4カ月かかり、3泊4日程度の入院も要する。 県協議会によると、移植には患者とドナーとの白血球の型の適合が必要で、確率は数百から数万分の1に限られる。さらにドナーが提供を望んでも仕事の都合で断念せざるを得ない例があるという。国内では約1700人、県内では24人が移植を求めているが、実際に手術を受けられるのは6割で、残りは亡くなってしまうという。関根政雄会長は、若い世代の協力は不可欠だと強調する。「今まさに、この時間もドナーを待っている人がいる。互いに協力して命のバトンをつなぎたい」と訴えている。 ■企業に「休暇」導入呼びかけ 「ドナー休暇」の導入も進んでいない。県協議会は、県内企業に制度導入を呼びかけているが13日現在、5社にとどまっている。東邦銀行は2019年に制度を取り入れた。現在までに制度を使った休暇取得者はいないものの、担当者は「ドナーが制度を活用できるように行内で周知に努めている」と話す。
一方で従業員が少ない中小・小規模事業者は人手のやりくりがつかず容易には休ませることができない。福島市内で飲料販売を手がける男性経営者は、骨髄バンクの重要性は理解しているとした上で「従業員が1人欠けると業務に支障が出てしまう」と難しさを語る。 県協議会の青砥安彦運営委員長は自身も骨髄提供を受けた経緯がある。「救える命を救いたい」と制度の導入を強く求めている。