親も親族も頼りにできない!遺品整理の現場で起きる想像以上の「困難」
両親が亡くなったとき、実家をどうするか考えているだろうか。実家に戻って暮らすのか、それとも実家を処分するのか。いずれにしても遺品整理が必要だが、そこには想像以上の困難が待ち受けている。いわゆる「親家片(おやかた)」本には、「こうして片づけた」「こうすれば片づけられる」などと成功例が書かれているが、現実はそんな生やさしいものではない。 【漫画】刑務官が明かす…死刑囚が執行時に「アイマスク」を着用する衝撃の理由 『遺品は語る』(赤澤健一著)から抜粋して、注意するべきポイントをお届けする。 『遺品は語る』連載第18回 『あなたも当てはまる!? 「もったいない」が招く「悲劇」…親世代の家がモノで溢れるまさかの理由』より続く
処分できなかった結果の集大成
実際に遺品を整理するとしよう。親が高齢であれば、整理作業は子どもがやることが多い。 このとき、残された片親がいれば、その意向も尊重しなくてはいけなくなる。その意見も聞きつつ、作業効率のためにある程度子ども世代が判断しながら、遺品整理を進めることになる。 しかし、これもなかなか難しい面がある。整理することを親に同意してもらったうえで始めても、不必要なものを実際に処分するのがまたたいへんなのだ。 もちろん、思い出の写真など、子どもでもわかる「残すべきもの」を残すのは当然だろう。しかし、判断が難しいものについて親に尋ねると、たいてい「取っておく」と言うものだ。 置いてあるものを処分するどころか、そもそも他人に触れられることさえ嫌がる親だっている。意見が対立すれば処分は進まないし、尋ねずに捨てれば機嫌を損ねてしまう。親を説得するために、さらに時間を要することもある。 現実にはゴミ屋敷同然の状態でも、それは、そこで暮らしていない子ども世代から見た話でしかない。本人には全部必要なものばかりなのだ。そもそも親の家にあるものは、何十年もの間、処分できなかった結果の集大成なのだから。
家族親族もタダでは動かない
親が高齢の場合、子ども自身も中高年になってきていて、体力にさほど自信がないかもしれない。自分だけでは整理できないことも多いだろう。実際、「遺品を自分で整理しようとして体調を崩した」という話を聞くのも珍しいことではない。 実家の近くには、たいていきょうだいや親戚・友人などが住んでいるものだ。そういう人がいれば、手伝いを頼むことができるかもしれない。 ただし、だから遺品整理が安くできる、と考えるのはムシがよすぎる。親族や友人とはいえ、無料でというわけにはいかず、当然”それなりのお礼”を差し上げることが必要になってくる。もちろん、普段の付き合い方によって内容は変わるだろうが、手伝いを頼めば、やはりなにがしかのお礼は必要だ。 つまり、自分たちでやるにせよ、ある程度の費用は必要となるのである。遺品整理そのものにかかる費用とお礼について、作業を手伝わずに任せていたきょうだいや親戚にどの程度負担してもらえるのか、その点についても了解を得なければならない。 『「遺品整理を家族で分担」はむしろ逆効果! 遺品整理で陥りがちな「袋小路」についてプロ業者が徹底解説』へ続く
赤澤 健一(グッドホールディングス株式会社代表取締役社長)