「コロぱた」15周年! ヒロイン「ひまわり」のお使いをお手伝い。斬新なパズルゲームの面白さを改めてご紹介
LukPlus(ラックプラス)が2009年12月24日に発売したニンテンドーDS用ソフト「コロぱた」が、本日2024年12月24日で発売15周年を迎えた。 【画像】※写真はSteam版で撮影(以下同) 本作は、さまざまなアイテムやギミックをステージ内に仕掛け、ヒロインのひまわりをゴール地点に導く、旗を立てるなどの条件を満たすとステージクリアとなるパズルゲーム。全128ステージで、発売後に64ステージ分の追加データも配信された。 以下、筆者が本作を仕事も兼ねてやり込んでいた当時の記憶をたどりつつ、今も昔も他に類を見ない、個性派パズルゲームの面白さを振り返ってみた。 ■ 豊富なアイテムと絶妙のトリックの数々に驚嘆 時は2010年早々、本作が発売されてしばらく過ぎたある日のこと。当時、筆者がとてもお世話になっていたGAME Watch編集部から「このゲームの評判がかなりいいらしい。レビューを書いてみませんか?」と声を掛けられたのがきっかけで、本作の存在を初めて知った。 実は筆者、今どき(?)の萌えっ娘、ロリっ娘が主人公、あるいは数多く登場するゲームはまったく好みではないので、ジャンルを問わず今も昔も一切遊ばない。だが、今回はずっと頼りにしている方からのご依頼ということもあり「コレって本当に面白いのかな?」と思いつつも、二つ返事で仕事を引き受けソフトを拝借した。 本作は、ヒロインのひまわりを直接操作することができない。その代わりにボールや板、おにぎり、箱、磁石、扇風機などのアイテムを配置して、ひまわりをゴール地点まで導くなどのクリア条件を満たすよう、プレイヤーが手助けをして遊ぶゲームだ。本作のキャッチコピー「自律キャラお使いアクション」の意味が最初はまったくわからなかったが、実際に遊んでみたらその意味がすぐに理解できた。 各種アイテムを設置後に再生ボタンを押すと、ひまわりが歩き出し、ステージによってはギミックやほかのキャラクターも一斉に動き出す。ひまわりは、目の前に置かれたアイテムを見付けると自動で手を伸ばし、ボールを拾えば投げる、おにぎりがあれば食べる、箱があれば押す、扇風機があればスイッチを押すなどのアクションを起こす。これらのアクションを誘発して、毎回どうやってクリア条件を満たすのかを考えるのが実に面白い。 ステージによっては、特定の地点にボールなどを当てて旗を立てる、あるいはカゴの中にボールを入れることがクリア条件に設定されている。ボールの軌道、板や箱が落下するタイミングや向きの変化などを脳内で計算していると、まるでテレビ番組「ピタゴラスイッチ」でおなじみの「ピタゴラそうち」を自身の手で作り出しているかのような楽しさがあり、筆者はすぐに本作を気に入った。 本作は「楽しい」と同時に「難しい」印象も、今なお強烈に残っている。 各ステージ攻略の簡単なヒントはテキストで表示されるものの、初見でクリアまでの手順がぱっとわかる簡単なステージは、序盤からほとんど存在しない。しかもステージが進むごとに、未知のアイテムやギミック、トリックが次々と登場するので、どうやってひまわりを誘導するのか、まったくもって見当が付かない。 たった1ステージだけで、アイテムの配置場所や向きを何十回、時には何百回も微調整を繰り返し、ようやく正解にたどり着くことは、本作では日常茶飯事である。試行錯誤の末にステージをクリアするたびに、快感とともに「スゴイ! よくこんなアイデアを思い付くなあ……」と、開発スタッフのアイデアにも毎回関心させられた。 難解ながらも面白いパズルの要素に加え、シンプルかつほのぼのとしたBGMも素晴らしかった。どの曲も、ステージ内をテクテク歩くひまわりの動きにとても良くマッチしており、尺は短いが何回繰り返し聞いてもストレスにならない。「ナルホド、これは評判になるワケだ。本当に良くできているなあ……」と舌を巻くばかりであった。 ■ ひまわりの世話にさんざん手を焼かされる日々 先述のとおり、本作はアイテムやギミック類の使用法を考えるだけでもたいへんなのに、ひまわりは「機嫌」と「体力」の値によって、同じ場面でも行動が変化する特徴を持っているため、難しさがさらに増している。 ひまわりの機嫌が良い場合は、路上にあるボールを拾って投げるが、逆に悪い場合は拾わずに足で蹴り上げる。体力が満ちている場合は颯爽と道を走るが、体力が減るにつれて歩くスピードが遅くなるので、ひまわりがあらかじめ想定した行動を起こさない、あるいは予想したタイミングで目標地点に来ないことがしばしば起きる。しかもひまわりは、体力がゼロになると泣き出し、行動不能になってしまうのも実に厄介だ。 なので、おにぎりやキャンディーなどのアイテムを適宜ひまわりに食べさせる必要があるのだが、ステージによってはバナナの皮でわざと転ばせるなどの方法で機嫌を悪くし、ボールを蹴らせる場面もしばしば登場する。ほかにも、ひまわりは犬が吠えると驚いて一目散に逃げたり、空を飛ぶチョウに出会うと我を忘れて追い掛けたりするなど、次から次へと予期せぬ行動を取るのでとにかく世話が焼ける。 レビューの仕事が終わった後も、筆者は自分でソフトを購入して夢中になって遊んだが「オイ、何でそっちに動くんだよ!」と、いったい何百回モニターに向かって叫んだことか……。 本作はオープニングで、ひまわりが母親から「大根を配って来て」と、お使いを頼まれるところからストーリーが始まる。加えて、一定のステージをクリアするごとに、ひまわりが行く先々で出会った人物たちとの会話シーンも見ることができる。少年マンガのようなほのぼとしたビジュアルといい、ひまわりが見知らぬ人に大根をいきなりプレゼントする謎展開といい、本作のハードな内容とは凄まじいまでのギャップがある。 ステージによっては、クリアするまでに数日掛かるとわかっていても、ひまわりの世話に手を焼かされるとわかっていても、詰将棋などを解いたときと同様の快感を求めて、ついついヤミツキになってしまう。いつも涼しい顔で「お使い」を果たすひまわりに対し、「ちゃんとこっちの言うことを聞いてくれよ!」と毎回ツッコミつつも、どこか憎めないところがある。本稿の執筆にあたり、本作を久々に遊んで改めて実感した。 本作は製造本数が少なかったこともあり、以前から中古市場でも滅多に出回らず、ごく一部のマニアやコレクター間では垂涎のプレミアソフトと化している感がある。また2014年に配信されたDSiウェア版も、現在ではサービスを終了しており購入する手段がない。 だが幸いなことに、現在ではSteam版が配信されているので、PCやSteam Deckが1台あれば気軽に遊べる。見た目からは想像できないほど難しいかつ面白い本作を、この機会にぜひチャレンジしていただきたい。 (C)2020 LukPlus Co. Ltd. All Right Reserved.
GAME Watch,鴫原盛之