テイラー・スウィフトは米大統領選挙の行方を左右するか
バイデン大統領はテイラー・スウィフトの支持表明を期待するか
米人気歌手テイラー・スウィフトが米大統領選挙の行方に与える影響について、注目が高まっている。あるいは、テイラー・スウィフトが米大統領選挙を巡る民主党と共和党の争いに巻き込まれている、と言った方が正しいのかもしれない。 文化面で絶大な影響力を持つテイラー・スウィフトは、過去に民主党候補の支持を公言したことがある。2018年に米南部テネシー州の上院選で民主党候補を支持したほか、2020年の大統領選では、投票日の前日にインスタグラムに投稿した動画でバイデン氏支持を表明した。 彼女は女性の権利を擁護し、白人至上主義に反対し、またLGBT(性的少数者)コミュニティの権利擁護を掲げている。これらは、民主党のリベラル(左派)な考え方に近い。 ただし、彼女のファンはリベラル色が強い人々に限らない点が重要だ。昨年米調査会社モーニング・コンサルトが実施した調査によると、彼女の支持層は40歳未満と若年者に偏っているものの、そこには民主党支持者も共和党支持者もいる。また、高所得者と低所得者の双方に広がり、さらにあらゆる人種をカバーしている。そして、米大統領選の結果を左右する、郊外の住民の強い支持も得ている。 テイラー・スウィフトは、インスタグラムのフォロワー2億8,000万人を誇るなど、社会的な影響力がかなり大きい。昨年9月に自身のSNSで有権者登録を呼びかけた際には、3万5,000人もの新規登録があったという。このことから、彼女が前回同様に大統領選挙でバイデン大統領の支持を表明すれば、若年層を中心に相当数の票がバイデン大統領に流れる可能性がある。 イスラエルとガザの紛争で、イスラエル寄りの姿勢が若年層離れを引き起こす中、バイデン大統領は若年層の支持を高める戦略をとっている。2月11日に動画投稿アプリTikTokの公式アカウントを開設したのも、そうした戦略の一環だ。この点から、テイラー・スウィフトがバイデン大統領の支持を表明することを、バイデン大統領は望んでいる可能性がある。