Cody・Lee(李)が語る、最高に盛り上がった台湾でのライブと『最後の初恋』
◇「生活を歌う」という原点に立ち返った最新作 ――新しいアルバム『最後の初恋』についても伺いたいのですが、本作は冒頭に「NOT WAR, MORE SEIKATSU」から始まり、「イエロー」や「生活」など生活をテーマとされた楽曲が多い印象を受けました。 高橋:この1~2年で身近な人に急に会えなくなったとか、そういうことが重なって。そんなときに“最後に話した会話ってなんだったっけ?”と思い返しても、思い出せなくて……。そのときに“本当に適当な会話しかしていなかった”と気がついて、平凡な日々がいかに大切かと思ったんです。 そこから何気ない日々の大切さに気づくような、そんな歌を作っていきたいという意識が強く生まれて、それがアルバムとしてまとまったという感覚はあります。 ――高橋さんはInstagramでも、「生活を歌う」ことが自分の根幹だと明言されていますよね。自分の生活を歌おうと考えたのは、いつごろですか? 高橋:Cody・Lee(李)を始めた頃からですね。SFとかファンタジーみたいな歌詞は全く書けなかったので、自分の身の回りを歌にして、タイムカプセル的に閉じ込めようとしたのがきっかけです。 僕が最初に作った「キャスパー」「drizzle」という曲は、ロックよりもヒップホップ的なアプローチで、固有名詞が多く出てきます。それも、自分の身の回りを歌にしていくためには必然的なことだと思っていて。 ――例えば今回のアルバムだと、監督の大根仁さんや雑誌のユリイカ、さらにフィッシュマンズの『宇宙 日本 世田谷』など、さまざまな固有名詞が当たり前のように出てきます。そこも、日常を意識してワードを入れている感じですか? 高橋:そうです。曲を作るときに考えるのは「いかにリスナーに聴いてもらうか」ではなくて、「いかに自分が届けたい人に届くか」ということを意識しています。その人に向けた曲は、具体性を帯びていたほうが届くと思うので、固有名詞が必然的に入ってきてしまう。 ――今回のアルバムも届けたい人はいますか? 高橋:自分はずっと家族と彼女と友達。そこの3つは根本にあるので、その人たちに届けたいという気持ちで作っています。 ――今回「生活」というワードが強調されていて、個人的に思い当たった節があって。自分が初めてCody・Lee(李)のライブを見たのは2019年8月で。大阪のライブハウスでした。 力毅:その日はメンバーが変わる前の、最後のライブだった気がします。 ――高橋さんがMCで「頑張ります」と言ったのが、今でも印象に残っています。でも新しいメンバーが入り、リリースされたアルバム作品が『生活のニュース』(2020年)だったんです。そう考えると、Cody・Lee(李)は節目となるタイミングで、生活という原点へ立ち返っているのかなと。 高橋:……意識はしていなかったですけど、言われてみるとそうだなと思いました。 ◇武道館よりも地元の文化会館でライブがしたい ――「下高井戸に春が降る feat. GOMESS」では、ラッパーのGOMESSさんをフィーチャーしていますよね。 高橋:僕が一緒にやりたかったので誘いました。高校生の頃からGOMESSさんはずっと好きで、当時やっていたバンドの入場SEに「LIFE」を使っていました。下高井戸は、ポエトリーリーディングのセクションがありきで作っていたので、そこに当てはまるのはGOMESSさんだろうとなり、オファーに至りました。 ――「キャスパー」「drizzle」をヒップホップ的なアプローチで作ったこと。さらに「DANCE風呂a! feat. SIKK-O」では、TOKYO HEALTH CLUBのSIKK-Oさんとコラボレーションをするなど、高橋さんはヒップホップに関心があると思うのですが、いつごろから興味を持たれていたのでしょうか? 高橋:ヒップホップというよりも、ゆるっとしたJ-ラップが好きで。高校生から大学生になるころぐらいに“上京して聴く音楽ってなんだろう”と思って。その頃に出会ったのがTOKYO HEALTH CLUB、Enjoy Music Club、underslowjamsとかだったので、そこからハマっていった感じですね。 ――それは「生活を歌う」という部分にもリンクしますか? 高橋:めちゃくちゃあると思います。彼らは、クラブに行って朝になり「さてどうしよう?」みたいなことを歌っていて。そういうのが身の丈に合っている生活という感じがして僕は好きです。 ――最後に、Cody・Lee(李)をどのようにしていきたいですか? 原:Cody・Lee(李)のメンバーは、それぞれがそれぞれにカルチャーが好きという共通点があるので、それを音楽とうまく絡めながら、これからも面白いことができたらと思っています。 力毅:今回のアルバムで、さまざまなフレーズを試行錯誤したこともあり「まだこんなことができるんだ」という発見があったので、追求することを諦めずに続けていけたらなと思います。 ニシマ:これまで銭湯でライブをやったり、芸人さんと共演をしたり、面白いイベントを組んできたと思うんです。ただ、まだまだ面白いことができそうだなと思っていて。動物園や映画館とかでもライブをやりたいし、それこそ芸人さんがよく出る劇場とかでもライブをやってみたいと思っています。 高橋:自分はさっきも話したように、家族とか友達とか彼女を大事にした音楽をやっていて、地元(花巻)での文化会館でワンマンライブがしたいという思いはずっとあって。それを叶えるために挑戦していくというか、そこへの布石を打っていくステップなのかなと今は思っています。 ――例えば、武道館と地元の文化会館ならば、どちらが先にライブをしたいですか? 高橋:地元の文化会館でやるなら、武道館でやって地元に帰れたほうが、より故郷に錦を飾れる感じがしますよね。ただ、どちらか一つ選べと言われたら、余裕で地元を選びます。 (取材:マーガレット安井)
NewsCrunch編集部