“メルセデス・ベンツの大定番”はどう進化? 新型「Eクラスステーションワゴン」公道での印象は? “人気低迷中のワゴン”でも人気が衰えない秘密とは
セダンやSUVにはないワゴンならではの美点とは?
「最近、日本車のステーションワゴンを見かけなくなった気がする」……そう感じている人も多いかもしれません。でもそれは、決して気のせいではありません。疑いようのない事実です。 【画像】「えっ!…」これがステーションワゴンの大定番! メルセデス・ベンツ「Eクラス」です(46枚) そんな市況にあって、メルセデス・ベンツ「Eクラス」のステーションワゴンは1986年の日本初上陸以来、日本市場で高い人気をキープし続けています。なぜこのモデルは、多くの人々から支持され続けているのでしょう?
ステーションワゴンといえば、1990年代には我が世の春を謳歌する人気ジャンルでした。しかし、1990年代後半からのミニバンブームのあおりを受けてマーケットが縮小。今では選択肢が本当に減ってしまいました。 例えば、日本車の場合、純粋にステーションワゴンと呼べるのはスバル「レヴォーグ」にトヨタの「カローラツーリング」と「カローラフィールダー」くらい。拡大解釈しても、スバルの「レガシィ アウトバック」が加わる程度です。本当に選択肢が減ってしまいました。 そんな日本車とはちょっと事情が違うのが、ヨーロッパブランドのステーションワゴン。例えば、スウェーデンのボルボはSUVのラインナップが一気に増えたものの、「V60」や「V90」といったステーションワゴンもしっかりラインアップしています。 そして、メルセデス・ベンツ、BMW、アウディの“ドイツ御三家”も、街中でステーションワゴンをよく見かけるブランドとなっています。 人々はなぜ、こうした欧州ブランドのステーションワゴンを選ぶのでしょうか? それは、セダンやSUVにはない魅力を備えているからにほかなりません。 その一例が、積載性でしょう。荷室空間が上に広がった分だけ、セダンよりラゲッジスペースが広いのは当然ですが、実はステーションワゴンの荷室は、SUVのそれよりも実用的なのです。 一般的に、同じクラスのSUVとステーションワゴンを比べると、たとえ荷室容量が同じであっても、ステーションワゴンの方が荷物を多く積めて、実用的なパッケージングとなっています。その秘密は、ラゲッジスペースの床の広さにあります。 同じクラスのSUVとステーションワゴンを比べると、SUVが“高さ方向のゆとりで荷室容量を稼いでいる」のに対し、ステーションワゴンは「荷室フロアの面積で容量を稼いでいる」傾向。その証拠に、荷室の奥行き(前後長)はステーションワゴンの方がSUVより長いのが一般的です。 つまり、SUVは荷物を重ねて積まないと荷室容量をフルに活用できないけれど、ステーションワゴンは広い荷室フロアを得た分、荷物をたくさん積めるというわけです。そのためステーションワゴンの方が、荷物を積んで運ぶ際は実用的といえます。 ステーションワゴンのもうひとつのアドバンテージは、走行性能。SUVよりも走りがいいのです。 SUVはそのパッケージング上、重心が高くなりがちです。重心が高いとコーナリング時や高速走行時の安定性がどうしても劣ってしまいます。それは物理特性上、仕方のないことです。 一方、ステーションワゴンの重心はセダンと同様に低く、走行安定性はSUVに比べてハイレベル。物理法則は、どんな技術をもってしても超えることはできません。 もちろん、かつてとは異なり、昨今のSUVは走りの性能がどんどん向上。その差を感じさせないくらい、よく走るモデルも増えています。 とはいえ、やはり双方の間には今なお“超えられない壁”が存在するのは確か。それを知る“ツウ”たちは、SUVではなくステーションワゴンを好んでいるというわけです。 つまり、荷物をたくさん積める上に走行安定性にも優れるクルマ……それがステーションワゴンといえるでしょう。 ●バカンスを楽しむ欧州の文化がワゴン人気を支えている ドイツ車を始めとするヨーロッパブランドにステーションワゴンの選択肢が多いのは、彼の地にバカンスを楽しむ文化があるからだといわれています。 数週間の長期休暇を取って出かけるバカンスでは、当然のことながらたくさんの荷物を携行します。そのためセダンでは足りず、荷室の広いステーションワゴンが好まれるのです。 しかも、速度無制限区間のあるアウトバーンをハイスピードかつ長距離走るとなれば、やはりSUVではなく高速安定性に優れたステーションワゴンを選びたくなるのは当然のこと。 最近でこそ、アウトバーンを爆走しているSUVも多数見かけますが、巡航速度が高い人ほどステーションワゴンを好んでいるようです。