名古屋駅のシンボル「ナナちゃん」 ── その生い立ちと人気の秘密に迫る
愛知県名古屋市中村区の名古屋駅の待ち合わせスポットとして。また、観光スポットとして定番の巨大マネキン人形「ナナちゃん」。名鉄百貨店前の歩道に設置され、初めて訪れた人は圧倒的な存在感とファッションセンスに度肝を抜かれることも多いだろう。そのファッションが常に話題となるナナちゃん。しかし、なぜ、ナナちゃんはここに存在し、これだけの名物になったのか。その生い立ちを探ってみた。
きっかけは、東京で見た「巨大マネキン」
ナナちゃんのプロフィールは、1973年(昭和48年)4月28日生まれの41歳。身長約6メートル、体重約600キロ。公式サイトでは3サイズまで公表している。本業は名鉄百貨店の「広報部員」で、日々の業務を担っており、彼女にしか着こなせない最新ファッションを常に提案している。 次に生い立ちをひも解いてみると、1972年に名鉄百貨店が若者を対象とした新館「名鉄百貨店セブン館(現・ヤング館)」をオープン。その1周年を記念した“百貨店らしいシンボル”として、当時の担当者が東京のマネキン展示会で見つけたのが、インパクトのある「巨大マネキン」だった。ちなみに当時のセブン館にちなんだ『ナナちゃん』という名前は、この時期に一般公募で決定したという。 歩道に巨大マネキンを設置したことで「当時のお客様からはとにかく驚きの声が多かったと聞いています」と教えてくれたのは、名鉄百貨店広報宣伝担当の石田さん。「待ち合わせ場所にこの巨大オブジェを見て、『駅前の仏像の前で待ってるね』や、『銅像の前で集合』」という声をよく耳にしたそうだ。 設置当初は様々なファッションに身を包むことはなかったそうで、「ナナちゃんの一番最初の衣裳はエプロンでした。当時の名鉄百貨店セブン館では、夏と冬のクリアランスセールを『せぶんまつり』と呼んでおり、店員は全員、このセールの名前が入ったエプロンを着用して接客していました。このPRのため、ナナちゃんに同じものを着せようという発案で、年2回着用していました」と石田さんは続ける。