注目の日本代表GK・鈴木彩艶インタビュー! 惨敗アジア杯での批判、差別コメントをどう受け止めたのか?
■大会後、森保監督に言われたこと ――キャッチングやパンチングなどゴールを守るという点でミスが出た一方、攻撃面では相手陣地深くまで届く飛距離のあるキックやスローイングからチャンスを演出する場面もありました。 鈴木 そこはいつも狙っています。ただ、いくら飛距離が出ても、その精度を上げないと意味はない。蹴るにしても、投げるにしても、仮に試合中に1本しかチャンスがなくても、そこでの精度は突き詰めなければと思っています。 21歳とまだ若いが、試合中にミスやファインセーブがあっても、顔色ひとつ変えずに常に淡々とプレーする姿も印象的だった。 ――ピッチで表情を変えないのは意識してのこと? 鈴木 GKがミスしてショボンとしていたら、味方も心配になるし、相手からも狙われかねないですよね。だから、ピッチではどんなシチュエーションでも堂々と、常に同じマインドでいるようには心がけています。好セーブをしてガッツポーズをするGKもいますが、僕はそういうのは少ないですね。 鈴木は昨夏、浦和レッズからベルギー1部のシントトロイデンに移籍すると、ここまで正GKとして22試合に出場している。W杯2次予選の北朝鮮との2連戦でも引き続きA代表に招集されたが、4月にアジア最終予選(U-23アジア杯)を控えるパリ五輪世代でもある。 ただ、予選、本大会共に五輪では代表に拘束力はなく、海外組はクラブ事情もあり全員が参加できる状況にはない。 ――今夏のパリ五輪出場も目標のひとつだと思います。 鈴木 (飛び級で招集された)東京五輪は試合に出場できなかったですが、悔しい経験をしたぶん、パリ五輪への思いはあります。ただ、クラブでの試合もありますし、どこでプレーするかは自分で決められることではない。僕的には選ばれたほうでプレーするだけだと思っています。 「真面目な性格」とは聞いていたが、どんな質問にも丁寧に受け答えする姿はまさに評判どおりだった。 ――自身の性格については、どう分析されますか。今日お話を伺って、やはり真面目だなと感じました。 鈴木 真面目かどうかはわからないです(笑)。ただ、どんな物事に対しても冷静に考えられるほうだとは思います。 ――21歳という年齢の割に落ち着いていますよね。 鈴木 ジュニアチームの頃から、サッカーだけでなく人としてどうあるべきかというところを教えてもらってきましたし、兄の影響で子供の頃から自分より上の学年に交ざることが多かったこともあって、誰に対しても、どんな場所でも、自然と物おじせずにいられるようになったのかもしれません。 ――アジア杯での悔しい経験を、ぜひ今後に生かしてください。応援しています。 鈴木 森保(一)監督からも『この経験を無駄にするな』と言われました。アジア杯は自分のこれまでの人生でも、いろんな意味で一番大きなものになりました。この経験をどう生かすかは自分次第。将来、『あの失敗があって良かった』と言えるように毎日を大切に過ごしたいです。 取材・文/栗原正夫 写真/アフロ