鬼頭明里、20代最後のフォトブックに込めた思いと声優10周年の軌跡
■“まず自分が楽しむ”という気持ちを大切に
――今回のフォトブック発売は節目の記録にもなったかと思いますが、これまでのキャリアを振り返って改めて感じることは? 鬼頭:言われてみれば、声優の仕事を始めて10年になるのか……みたいな感じで、自分の中ではあっという間の感覚なんですけど、本当に楽しくて充実した10年を過ごさせてもらっているなと改めて思いますね。 ――私が鬼頭さんを知ったきっかけは2017年に放送された『ブレンド・S』だったのですが、ご自身の中で転機になったと思う作品はありますか? 鬼頭:おお、そんな初期からありがとうございます(笑)。思い返すと転機の連続で、『タイムボカン24』では初めてヒロインを演じさせてもらい、大先輩の方々と長期間ご一緒する中でたくさんのことを学ばせていただきましたし、『僕だけがいない街』も初めてオーディションで役を勝ち取った作品で、とても思い入れの強い作品です。そして『グランクレスト戦記』では新人の私にとって挑戦的な役を任せてもらい、そのおかげで成長できたと感じています。 ――『グランクレスト戦記』でのお芝居は私も大変印象に残っています。ちなみに、新人の頃とくに影響を受けた先輩は? 鬼頭:『僕だけがいない街』で共演させていただいた悠木碧さんは以前所属していた事務所の先輩で、すごく仲良くしてくださったんです。お芝居や仕事のことを相談すると、明確な答えを示すのではなく「私はこうしているよ」というヒントを与えてくださって、そこから気づき得るということがとても多くて。悠木さんには今でもお世話になっていますが、新人の頃に仲良くなれて本当によかったなと思います。 ――年齢が近い先輩だからこそ、同じ目線で寄り添ってくれる存在というか。また、鬼頭さんは横のつながりも広いかと思いますが、同期で出会えてよかったと思う方は? 鬼頭:『ブレンド・S』で仲良くなった和氣あず未ちゃんと春野杏ちゃんは同い年で、仕事を始めた時期も同じくらいだったこともあり、仕事の悩みを共有できるだけでなく、友達として遊ぶこともできるありがたい出会いでした。会うとだいたいふざけ合っていたような気がします(笑)。 ――本当にいい3人組ですよね(笑)。最後に、今後の“鬼頭明里像”として考えていることや、発信していきたいことがあれば教えてください。 鬼頭:私は昔から「発信したい」というよりも、自分が楽しいと思うことを大切にしているんです。たとえば、SNSも楽しかった瞬間を記録し、それを見て共感してもらえるのが一番嬉しくて。 仕事に関しても同じで、自分が楽しんでいるお芝居がみなさんに伝わり、それに対して「いいね」と言ってもらえるのが何よりの喜びなので、これからの10年、20年も同じように、“まず自分が楽しむ”という気持ちを大切にしながら続けていけたらいいなと思います。 (取材・文・写真:吉野庫之介) 鬼頭明里アニバーサリーフォトブック『あかりのまま』は、東京ニュース通信社より発売中。