「ガッカリしました…」盗撮犯罪を追跡する国内唯一の団体代表が指摘、23年7月施行「撮影罪」の“重大欠陥”とは
なぜ「盗撮させない意識」が重要なのか
四半世紀近い盗撮事件への対応の蓄積で、ほぼあらゆるパターンを熟知する平松氏にとって、個別の対策は不要とはいわないまでもその場しのぎに近いと考えている。だからこそ重要なことは、「『盗撮させない』という強い意識を持つことなんです」と力説する。 「盗撮のターゲットにされるスポットに温泉がありますが、ある有名な温泉街はまちをあげて、見回りや施設チェックを徹底しています。危ない場所はくまなくつぶし、盗撮の余地を与えない。逆に、意識の低い温泉地は、コストを理由に明らかに盗撮の温床となっているスポットを指摘しても適切な改善を施さない。とうてい盗撮の深刻さを理解しているとは思えませんし、盗撮の対策をしていることがひいては来訪者に対する付加価値になるという感覚もないんです」 昨今は、職場や学習塾などで、内部の人間が加害者になるケースも増えている。だからこそ平松氏は、施設側の主体的な盗撮をさせない仕組みづくりの重要性を訴える。 「まだまだそうした考えのところは少ない」といいつつも、平松氏は今後、施設に対し、盗撮対策のお墨つきを与える認証マークのような仕組みの創設も検討しているという。これまでは、どうしても「点」での対応になりがちだったが、今後は、盗撮をされないような抜本的な対策をカリキュラム化するなどで浸透させていくことも視野に入れる。
近日中に活動計画のお披露目も予定
近日中をめどに、法人なり後の活動計画を公開するプレスカンファレンスの準備も進めている。激化する盗撮犯罪を追跡する唯一の国内団体として、「ノー盗撮」を掲げ、これまで以上に精力的に活動していく。 「家が数軒建つほど身銭を切ってやってきました」と、これまでボランティアで活動を続けてきた平松氏。その最大のモチベーションは、「性的な目的で撮影された盗撮犯罪は、被害者の性的尊厳を著しく侵害するもの。私は1人でも多くの被害者を救いたい」という思いだ。 盗撮撲滅に半生をささげてきたスペシャリストが、これからはデジタルツールも最大限に活用し、盗撮を心配せず、安心して暮らせる社会づくりへまい進する――。
弁護士JP編集部