「ガッカリしました…」盗撮犯罪を追跡する国内唯一の団体代表が指摘、23年7月施行「撮影罪」の“重大欠陥”とは
施設等への「させない体制」の構築が肝要
では、どうすればいいのか。平松氏が要望するのは、盗撮現場となり得る施設や会社などの盗撮防止体制の義務付けや小型カメラなどの販売側へまで踏み込んだ規制など、盗撮発生の抑止につながるような抜本的な施策の盛り込みだ。 再犯が後を絶たない犯罪であり、加害者への衛星利用測位システム(GPS)埋め込みも、過去の事例を踏まえると「不可欠だ」と平松氏は提言する。 20年以上、盗撮を抑止する法案の成立を望み、政治家にも働きかけてきた平松氏。それだけに、重要なことがすっぽりと抜け落ちたような立てつけになっていることが残念でならなかった。
法人なりし、デジタル鑑識を導入などで体制強化
一方で平松氏は撮影法施行開始の3カ月後の2023年10月、大きく動いた。組織を民間団体から一般社団法人とし、法人なりしたのだ。 「24年の活動で蓄積した知見・ノウハウを最大限に活用し、より効果的な盗撮被害者への支援を実現すべく、一般社団法人化しました」(平松氏)。 今後は、防犯アドバイザーやエンジニア、元テレビマンのコアメンバーらとより踏み込んだ盗撮被害者の支援やネットワーク強化のための研修事業、法曹界との強固なパイプ構築なども精力的に行っていくという。 法人化に伴い、進化する盗撮犯罪への対応力も大幅に強化する。最大の目玉は、デジタルフォレンジックとよばれるデジタル鑑識の導入だ。 デジタルフォレンジックは法科学の一分野で、コンピューターなどの電子機器に残る記録の調査、分析を行う技術の総称。対象となるのは、PCやサーバー、ネットワーク機器、スマートフォン、USBメモリやSDカードなどだ。盗撮犯からデジタルデータを押収できれば、証拠となる記録を特定したり、消されたデータを復元できたりし、犯人特定や犯罪立証を推進できる。 さらに、組織のネットワークを強化するため、人材育成にも注力。オンライン等でセミナーや研修を実施し、全国に盗撮事件に対応できる人材を配置できるよう体制を強化。より迅速できめ細やかな盗撮対応、被害者支援を実現する。