株式会社ガイナックスが5月29日付で会社破産の申立を行っていたと公表。“手の施しようのない状況の債務超過”や“前体制時に積みあがっていた高額負債”から「業務の継続は困難」と判断
株式会社ガイナックスは、5月29日付で東京地方裁判所に対して申し立てた会社の破産申し立てが受理されたと発表した。 本発表にともなって、元ガイナックス所属の庵野秀明氏が代表を務める株式会社カラーも補足コメントを公表している。 ガイナックス社は、1984年の設立からアニメーション制作やゲームソフトの制作販売を手がけ、『新世紀エヴァンゲリオン』(現在はカラーが著作権を保有)などのヒット作を生み出してきた。しかし、2012年ごろから無計画なCG会社の設立や運営幹部個人への高額の無担保貸付など、経営陣・運営幹部による会社の私物化が行われた結果、経営不振と多額の負債を背負う状態に陥っていた。 一方、庵野氏は2006年にカラーを設立後、2007年にガイナックス社を退職。株主の立場から経営改善に向けた提案を打診してきたが受け入れられず、カラーとして援助的な融資をおこなったこともあった。しかし経営状況はさらに悪化の一途をたどり、2018年には当時の代表取締役から映像制作に知見のない人物への株式譲渡が行われたほか、2019年には新たな代表取締役に就任したその人物が未成年者への性加害で逮捕される事態にまで至った。 カラーはガイナックスの前代表取締役が逮捕されたのち、『エヴァンゲリオン』シリーズを中心とした関連作への風評被害を防ぐため、KADOKAWAやキングレコード、TRIGGERに協力を仰ぐかたちで経営陣を刷新。内情を把握するとともに、クリエイターへの未払い金の解消や知的財産・資料の散逸を防ぐべく協力・連携してきた。 しかしながら、ガイナックス側では手の施しようのない債務状況が発生していたほか、多くの旧経営陣が株主として残る状況となっていた。ガイナックスは2024年5月に債権回収会社から請求訴訟の提訴を受けており、「業務の継続は困難」との判断から今回の破産申し立てに至っている。 ガイナックスは発表の最後で「十全に目的を果たすことができず破産を選択せざるを得なかったことは、債権者の皆様およびご協力いただいた各社様に、そしてファンの皆様にたいへん申し訳なく存じます。」と謝罪。旧経営陣が現状を一切顧みずガイナックスのブランドを用いて活動している状況を説明しつつ、無報酬にもかかわらず尽力してきた新体制の取締役らやその所属各社、カラーとはじめとする関係各社への謝辞を述べている。 なお、両社の発表コメントで言及されているとおり、ガイナックス(GAINAX)の商標・称号については現在、カラーが権利を取得・管理している。加えて、下記の名称の類似会社と株式会社ガイナックスが別の法人であり、カラーと類似会社の間で商標使用許諾契約を行っていないことも示されている。
電ファミニコゲーマー:ヨシムネ
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