【解説】「災害関連死」防ぐには…カギは避難所の環境整備「T・K・B」? 「2次避難」につなげる「1.5次避難」を【#みんなのギモン】
日テレNEWS NNN
10日の#みんなのギモンは「災害関連死防ぐには?」がテーマです。 今回の能登半島地震で9日、初めて「災害関連死」が確認され、これまでに8人にのぼっています。「災害関連死」を防ぐためにはどうしたらいいのか、次の2つのポイントを中心に詳しく解説します。 ●災害関連死とは ●急がれる2次避難
■「災害関連死」とは?
「災害関連死」とは、地震や津波を直接の原因として亡くなるのではなく、「災害後の厳しい避難生活などの影響で亡くなること」をいいます。 過去の災害では、避難中の車の中で74歳の女性が“疲労による心疾患”で亡くなりました。 また、88歳の男性が、“栄養障害”や“持病の悪化”等によって亡くなったケースがありました。 過去のデータでは、高齢の方が多いのですが、若い世代も注意が必要です。
■「災害関連死」が起こる原因・背景は?
内閣府が過去の災害関連死をまとめたデータでは、亡くなった原因は肺炎・気管支炎など「呼吸器系の疾患(33.1%)」が最も多く、次いで、心不全・くも膜下出血などの「循環器系の疾患(29.1%)」となっています。 その背景には、「避難生活の肉体的・精神的負担(52.7%)」、「電気、ガス、水道などが途切れることによる肉体的・精神的負担(14.1%)」が多いと分析されています。 また、熊本地震では「地震のショック、余震への恐怖による肉体的・精神的負担(40%)」が最も多かったということです。 避難所によっても環境は違い、それぞれ何を一番ストレスに感じるのか、ということも違うと思われますが、なかでも優先して改善を急ぐべきこととは何なのでしょうか?
■「災害関連死」を防ぐ鍵…「T・K・B」とは?
「災害関連死」を防ぐためには、どうしたらいいのか。 9日まで、石川県珠洲市などで支援を行った「避難所・避難生活学会」の代表理事で石巻赤十字病院の副院長である植田信策医師に聞きました。 植田医師は、「T・K・B」が重要と指摘しています。 ◆「T」は、安心して利用できる清潔なトイレ(Toilet) ◆「K」は、栄養価の高い、温かい食事を確保できるキッチン(Kitchen) ◆「B」は、足を伸ばして寝られるなど、就寝環境を確保するベッド(Bed) この3つを確保することが、「災害関連死」を防ぐ対策のカギになるといいます。 ◇ まず、「T:トイレ」について。 トイレが汚いと、行きたくないので、水分をとらない。その結果、水分不足になって、血栓ができやすくなったり、エコノミークラス症候群につながったりするおそれもあります。 どうしても、仮設トイレは避難所の外に設置されますが、植田医師は、高齢者が行きやすいよう、避難所の部屋の近くに“簡易トイレ”を設置してきたそうです。 ◇ 次に、「K:キッチン」について。 食事でしっかりと栄養をとることは、体調管理の基本でもありますが、“体の熱を作る”ためにも重要です。温かい食事がとれないと、高齢者の「低体温症」などにもつながるそうです。 今後は、安定的に食材を届けたり、温かい食事を継続的に提供できる調理をサポートしたりといった環境整備も必要になってきます。 ◇ そして、「B:ベッド」について。 まだまだ、避難所にダンボールベッドは整備されていない所も多いようです。寒くて狭いと、足を曲げて縮こまって寝てしまいがちですが、そうすると血流が悪くなって、血栓ができやすくなるそうです。 植田医師が訪れた珠洲市の避難所は、大勢で床に寝て、そこを土足で行き来するような状況だったそうで、感染症も心配されたということです。