EU提供の兵器使ったウクライナのロシア領内攻撃、加盟国が容認検討
(ブルームバーグ): 欧州連合(EU)の国防相は、ウクライナが加盟国から送られた武器を使ってロシア領内の奥深くまで攻撃することを認めるかどうかについて議論している。
これまで、特に米国とドイツは紛争が拡大するリスクがあるとして、ロシア領内の標的を攻撃できる長射程兵器をウクライナに提供することに慎重だった。しかしウクライナからの数カ月にわたる要請を受けて、米国は今年、ロシアが占領する地域内での使用を条件に長射程の戦術弾道ミサイルシステム「ATACMS」をウクライナに送った。
エストニアのペフクル国防相は記者団に対し、「これらの資産を持っているすべての国がウクライナにも許可を与えることを心から望んでいる」とした上で、ウクライナはすでに無人機でロシア領内の標的を攻撃していると発言。「ロシア軍がウクライナ国内の奥深くから攻撃する一方で、ウクライナ軍は不利な条件を課されて戦っているというのは正常なことではない」と指摘した。
ウクライナは現在、国境に近いハルキウをロシアの空襲から守るのに苦戦している。同盟国はウクライナにより多くの防空資産を送ろうとしているが、攻撃の源であるロシア国内の標的を攻撃できれば防衛コストの軽減にも寄与する見込みだ。
先週末、買い物客でにぎわうハルキウのホームセンターがロシア軍の攻撃を受け、少なくとも18人が死亡、数十人が負傷した。その2日前にはロシア軍のミサイルがハルキウにあるウクライナ最大の印刷会社を直撃し、少なくとも7人が犠牲になった。ウクライナ軍によると、攻撃はいずれもロシアのベルゴロド州から行われたという。
ベルギーは28日、2028年までにウクライナにF16戦闘機30機を提供すると表明した。ただ同国のデクロー首相は提供する武器はウクライナ領内で使用されることになると述べた。
北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は27日、 ロシア領内の標的への攻撃制限を解除するよう同盟国に促す取り組みを強めた。