大川原元顧問側の控訴棄却 拘置所医療で国賠請求
外為法違反罪での起訴が取り消された「大川原化工機」で顧問を務め、勾留中に判明したがんで死亡した相嶋静夫さん=当時(72)=の遺族が、拘置所で適切な医療が受けられなかったとして国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は6日、請求を退けた一審判決を支持し、遺族側の控訴を棄却した。 【写真】「拘置所の苦しみ、理解されず」 判決に大川原の元顧問長男、苦渋の表情 3月
遺族側は拘置所の医師が適切な診断をし、相嶋さんが早期に外部の病院に移っていれば、より長く生きられた可能性が高いと主張。国側は医師の判断に問題はなかったと反論していた。 3月の一審東京地裁判決は、拘置所側の対応について「医学的に合理性があり、治療義務違反はない」とし、請求を退けた。遺族側が控訴した。 相嶋さんは、生物兵器製造に転用可能な装置を海外に不正輸出したとして2020年3~6月、大川原正明社長(75)らと共に警視庁公安部に逮捕され、起訴された。同年10月にがんが判明。勾留停止を経て、翌11月に病院に入院し、21年2月に亡くなった。 東京地検は初公判直前、犯罪に当たるかどうか疑義が生じたとして起訴を取り消した。