「これから対等な社会になって欲しい」旧優生保護法を巡る民事裁判 名古屋高裁で和解が成立
最高裁が「違憲」と判断、総理が謝罪
事態が大きく動いたのは、今年7月。旧優生保護法をめぐる他の上告審で最高裁が「違憲」と判断し、国に賠償を命じたのです。 「不妊手術という重大な被害を受けるに至ったこと、痛恨の極み。お一人お一人に深く深く謝罪申し上げます」(岸田前総理) 最高裁判決を受けて、国は原告団と和解の合意書を締結。各地の裁判は、国が過去の政策の過ちを認める形で和解へと向かうことに。
名古屋高裁の和解で、全国の一連の訴訟が終結
そして名古屋でも15日、名古屋高裁の和解勧告に対し、国と原告の双方がこれを受け入れ、和解が成立。 代理人弁護士によりますと、名古屋での和解をもって、全国で行われていた一連の訴訟が終結したということです。 裁判後の会見で、原告の尾上夫妻は和解が決まった時の気持ちを聞かれると…。 「最高に感動しました。この和解、(地裁で勝訴した)3月12日からきょうの日まで最高の喜びを感じています」(尾上一孝さん)
半世紀にわたる苦しみ、複雑な胸の内
旧優生保護法を巡っては、10月8日に補償金の支給などを定めた法律が成立しました。 しかし、半世紀以上にわたって苦しんできた豊明市の大山勲さんは、複雑な胸の内を明かします。 「半信半疑でまだ喜べない。本当の話なのかと。表面的には謝ってくれたが、実際はまだ信用できない」(大山勲さん) 国に求めたいのは、一時的な救済措置だけでなく、差別のない社会づくりだと訴えます。 「コミュニケーションの壁がある。昔はすごく傷つけられた。昔に比べれば差別はだんだんなくなってきてはいるが、これから対等な社会になって欲しい」(大山勲さん)