【遺産総額9,000万円】父の急死にかこつけて…「あなたの貯金額も教えなさい!」独身キャリアの二女へ〈資産開示〉を迫る専業主婦長女の強烈
姉が迫った「遺産分割案」の内容
鈴木さんの父親の財産は、自宅不動産が3,000万円程度、預貯金が6,000万円程度で、1億円に届かない金額でしたが、相続税の基礎控除を超えているため、相続税の申告が必要です。 「母の老後のことがあるので、私はできるだけ多く母に相続してもらいたいのですけれど、姉は…」 筆者は、妹に資産内容の明示を迫るという強烈なエピソードから、どれほど無茶な遺産分割の要求が出ているのかと身構えました。 「自宅は母に、現金は3分割にしようというのです」 「あ、ああ。そうですか…」 出てきたのは、意外に常識的な遺産分割案でした。 すべてを母親が相続すれば納税は不要ですが、子どもにまだお金がかかる姉は、この段階で、ある程度相続しておきたいということなのでしょう。 筆者は鈴木さんに、まずは姉の案に同調しつつ、できるだけ穏便に父親の相続を終えることをお勧めし、また、その後の母親の相続についても、あわせて母親の意向を聞いておくようお伝えしました。 独身で子どもがいない方の場合、きょうだいがいれば、確かにきょうだいが相続人です。しかし、多額の負債を抱えたまま自分の相続が迫るといった特殊な事情でもない限り、あえて自身の資産内容を知らせる必要はないといえます。もし聞かれる場合は、意図を聞いたうえで回答を検討するようにしましょう。 ※登場人物は仮名です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。 曽根 惠子 株式会社夢相続代表取締役 公認不動産コンサルティングマスター 相続対策専門士 ◆相続対策専門士とは?◆ 公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。 「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
曽根 惠子