【英国F1レポーターが角田裕毅を分析】角田を起用しなかったのは、レッドブルにとっては大きな損失……でもRBにとっては最大の利益だ!
■角田裕毅をベタ褒めするRB首脳陣
今季のRBは、開幕直後こそ苦しんだものの、レースを戦う度に戦闘力を上げているように見える。最近では、アストンマーティンと互角に戦っている場面も少なくない。そういうことを考えれば、角田にとって最善の選択は、RBにとどまることだったと言うこともできるだろう。 RBはこれまで(トロロッソ時代、アルファタウリ時代)のようなレッドブルのBチームという存在価値ではなく、それ以上のモノになろうとしている。その結果、育成枠出身のドライバーだけでなく、リカルドのようなベテランも起用することになった。ただ、角田はそのリカルドを圧倒……チームとしては喜んで輪の中心に置くことができる、経験豊富なドライバーに成長したようだ。 チーム代表を務めるローレン・メキーズは、角田をしっかりと確保しておくこそことが、今やRBにとっての「プロジェクトの鍵」になっていると語った。 「彼は今年、驚異的な成長を遂げている。それは我々の期待をはるかに超えたモノだ。我々は彼の成長を期待していたんだけど、4年目にしてこれほどまでに大きな変化を遂げたということは、ペースはもちろん、マシンを降りた時もとても印象的なのだ」 「成熟しただけではない。純粋なスピードも段階的に向上し、エンジニアとの対話も向上している。落ち着きに関してもそうだ」 「そういうのを目の当たりにするのは、素晴らしい気持ちだ。そして、我々は自身にも問いかけるべきことがある。それは『彼にはあといくつ、そういう”段階”が残っているのだろうか?』ということだ」 「我々はチームとして、彼がもっと成長できる環境を確実に作り上げなければいけない。それが今後数ヵ月、そして来年の我々の課題だ。彼との契約を継続することは、このプロジェクトにとって極めて重要であり、今や当然のこととなった」
■レッドブルにとっては大きな損失。RBにとっては大きな利益
メキーズ代表は、レッドブルに重用されることがなかった角田の苛立ちを理解できるとしながらも、角田がこのペースで成長を続けていけば、来年にはレッドブルはもちろんライバルチームにとっても「無視できない存在」になるかもしれないと認めた。 「彼はレッドブルのドライバーだ。だから、レッドブル・レーシングに昇格するという野心を持つことは、当然必要なのだ」 そうメキーズは続けた。 「彼にはその野心があり、それを証明するためにできることを全てやっている。彼は野心的だし、我々も野心的だ。我々はお互いのことを刺激し合っている」 「来年も彼が同じように活躍すれば、誰にとっても無視できない存在になるだろう」 レッドブルにとっては、角田を起用しなかったことは、損失である可能性がある。しかしその損失は、RBにとっては利益となる。レッドブルはまだ、角田のことを完全には信頼できていないのかもしれない。しかし現在の所属チームであるRBは、間違いなく角田のことを信頼している。
Filip Cleeren