【英国F1レポーターが角田裕毅を分析】角田を起用しなかったのは、レッドブルにとっては大きな損失……でもRBにとっては最大の利益だ!
■角田にはコントロールできなかった、様々な状況
レッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーは、角田がマックス・フェルスタッペンのチームメイトとして、彼が望むような穏やかで調和の取れた存在になれるとは確信していないようだ。 一方でレッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコ博士は、角田の成長には予想より時間がかかったものの、将来昇格する可能性を残している。 「彼は今のようなパフォーマンスを続けていかなければいけない。その後、将来がどうなるかを見てみよう」 マルコ博士はmotorsport.comのインタビューにそう語った。 「彼は非常に良い形で成長している。我々が予想していたよりも少しばかり遅かったが、彼は今やトップドライバーだと言えるだろう」 「ユウキが安定して速く、感情をコントロールできているのは、今シーズンが初めてだ。それは、かつて最大の問題だったのだ」 「フェアに言えば、彼には常にスピードの”閃き”があった。今年は中国を除けば、彼は安定して速い。それにより、彼の評価は変わってきている」 当の角田は、ペレスが契約を2年延長したことについて尋ねられた時、少し苛立った様子に見えた。そしてその日はRBとの契約延長が発表される前日だった。 「もちろん、僕はレッドブルにかなりコミットしています。彼らからも、もう少しコミットが得られると良いなと思ってます」 当時の角田はそう語っていた。 「話し合いは続いていますし、まずはレッドブルと意見が一致していることを確認したいと思います。その後は様子を見るつもりです。でも、RBには満足していますよ」 「この2年、彼(ペレス)はパフォーマンスを発揮しなければいけないでしょう。こういう環境では、何が起きてもおかしくはないです」 「彼にはおめでとうと言いたいですが、僕は自分のやっていることに集中し、自分のことを証明し続けるだけです」 「レッドブルが、僕の成長と潜在的なパフォーマンスをもっと見てくれるといいなと思います。もしかしたら、将来的には何かが変わるかもしれません」 角田の2025年の運命は、レッドブルの手に委ねられていた。そしてそのレッドブルは、彼を傘下に置いておくため、現契約に付与されていたオプション条項を行使した。 ただ角田にとっても、レッドブル・グループ以外の選択肢を取ることになった場合、他のパワーバランス次第という部分も大きい。 角田はアウディが獲得を狙っているのではないかという噂もあった。ただそれも、アウディがカルロス・サインツJr.をはじめとした、他の候補を獲得できなかった場合に限られるという状況だった。 またホンダとの繋がりを活かして、アストンマーティンと結びつく可能性も指摘された。ホンダは2025年限りでレッドブル・グループと袂を分ち、アストンマーティンにワークスPUを供給することが決まっているからだ。ただ角田がアストンマーティン入りするためには、ランス・ストロールがF1キャリアを終えるという決断を下さなければならない。そして現時点では、そうなる可能性は実に低い。