【社説】補正予算まで視野に入れた韓国経済政策の方向性、カギは政治不安の解消
韓国経済が「視界ゼロ」の不確実性に包まれたまま、今年の経済政策の方向性が提示された。政府は、韓国経済が非常事態にあるだけに、1-3月期中に補正予算を編成する非常対策まで検討することにした。今年の予算の67%を上半期につぎ込むことにしたが、これだけでは冷え切っている景気の火種を生かすのは難しいのが韓国経済の現実だ。 崔相穆(チェ・サンモク)大統領権限代行が昨日、経済政策の方向性を発表し、「経済環境全般を1-3月期中に再点検し、追加景気の補強策も講じる」と述べたのは、補正予算編成の可能性を視野にいれたものと解釈される。 政府は今年の経済成長率を国内総生産(GDP)基準で1.8%と予測した。世界1位の経済大国の米国でも成長率2%台という点から、韓国の1%台の低成長は深刻な景気低迷と見ざるを得ない。それでも輸出が韓国経済を支えているが、今年は輸出環境が急速に悪化している。 韓国は、国内政局が極度に混乱している中でも、半導体と自動車のおかげで昨年の輸出は前年比8.2%増の6838億ドルという過去最大の実績を達成した。今年は状況が一変した。保護貿易主義を前面に押し出した米国が関税の壁を高めているためだ。20日に就任するトランプ大統領は就任当日、すべての輸入品に10%の関税、中国に対しては60%の関税を課すと公言してきた。 建設をはじめとする内需と民間消費、雇用・金融・外国為替などほとんどすべての経済指標に非常灯が点いて久しいし、今は韓国経済の唯一の支えだった輸出まで危うくなった局面だ。弱り目にたたり目で弾劾政局が続き、為替不安が深刻になった。為替不安が続くと、経済危機の状況まで懸念しなければならない。為替レートが1ドル1500ウォンを突破して急騰すれば、懸念は現実になりかねない。 韓国国内の都市銀行は、国際決済銀行(BIS)の銀行健全性基準の普通株資本(CET1)の割合管理に赤信号が灯った。急激なレート変動でウォン安が進めば、銀行が保有しているCET1の割合で分母のウォンの評価額が増え、この割合が下がるためだ。 国際信用格付け会社フィッチは「政局不安が長期化すれば国家信用ランクが弱含みになる恐れがある」と警告した。崔相穆権限代行が先月31日の国務会議で「経済と民生危機の可能性の遮断が必要」と切迫感を吐露したのも、このような懸念が溶け込んでいる。 揺れる経済と民生を救うためには、政界は政治不安の解消に総力を傾けなければならない。与・野・政協議体は半導体特別法など経済再生対策だけでも党派を越えて力を集めなければならない。補正予算を編成したとしても、弾劾政局の解消なしにはいかなる経済対策も風前の灯の韓国経済を救出するには力不足だ。