メキシコ大統領選、シェインバウム氏が圧勝-議会選も与党躍進
(ブルームバーグ): 2日投開票のメキシコ大統領選は、ロペスオブラドール大統領率いる左派与党、国家再生運動(MORENA)のクラウディア・シェインバウム氏が地滑り的勝利を収めた。前メキシコ市長の同氏はメキシコ初の女性大統領となる。
任期満了で退くロペスオブラドール氏の人気が追い風となったが、次期政権は国内で横行している犯罪や多額の財政赤字への対応が急がれる。シェインバウム氏(61)は10月に大統領に就任する。
選挙管理当局によれば、シェインバウム氏は対立候補に得票率で少なくとも30ポイントの差をつけて勝利した。大統領選は事実上、女性候補同士による一騎打ちだったが、上院議員を務め野党連合から出馬したソチル・ガルベス氏は大敗を喫した。
同時に行われた上下両院選でも、MORENAは一段と勢力を伸ばした。与党側は下院で3分の2の議席を獲得し、上院でもそうし勢いを維持できると期待している。与党側がこれだけの多数派となれば、憲法改正を承認する権限をシェインバウム氏に与えることになる。
メキシコの経済研究教育センター(CIDE)のアンドルー・パックスマン教授(歴史学)はシェインバウム氏の当選ついて、「ロペスオブラドール大統領の功績に対する感謝の表れであると同時に、シェインバウム氏自身への期待の表れでもある」と指摘。
その上で「議会との将来的な関係がどうなるか疑問符が付く」ため、シェインバウム氏が有能なリーダーであり続けられるかどうかは今後を見なければならないと述べた。
大差での勝利はシェインバウム氏の政策課題の議会通過に有利に働くものの、なお残る根本的な疑問は、同氏の政権はロペスオブラドール政権の延長に過ぎないのか、それともメキシコが直面する最も差し迫った課題に対処するため重要な改革を目指すのか、という点だ。
ロペスオブラドール氏が目指したものの実現できなかった司法・選挙制度改革をシェインバウム氏が推し進めるかどうかの不透明感から、投資家の間に懸念が広がっており、投資家は次の大統領をけん制し続けられる強力な野党勢力を望んでいた。