<箱根駅伝>勝負の箱根5区に山の神は降臨するか
第91回箱根駅伝の区間エントリーが12月29日に行われ、各大学の「戦略」が明らかになった。当日変更で最大4名まで補欠と交代することができるが、今回はサプライズともいえるオーダーは少なかったように思う。 区間ごとの登録状況を見ると、城西大・村山紘太(アジア大会5000m5位)、明大・大六野秀畝(全日本大学駅伝8区区間賞)、青学大・一色恭志(1万m28分23秒)、大東大・市田孝(全日本大学駅伝1区3位)などエースの2区起用が目立つ。村山謙太&紘太の兄弟対決もあり、「花の2区」が久々に熱いが、レースを占う意味では「山の5区」に注目しないといけない。
5区で1時間17分台に迫ると「神の領域」
5区が最長区間になり、前回までの9大会中、5区を制したチームが6回も総合優勝に輝き、往路に関してはすべてトップでゴールテープを切っているからだ。2区で区間賞を獲得したチームはどうかというと、前回までの9大会中で総合優勝は0回(往路優勝もなし)。それどころか2回もシード(10位以内)を逃している。箱根のポイント区間は「花の2区」から「山の5区」に完全移行した。 5区の距離が20、9キロから23.4キロに延びた06年からの9レースで1時間20分を切ったのは12人。1時間19分を切っているのは今井正人(順大)、駒野亮太(早大)、柏原竜二(東洋大)の3人だけで、1時間17分台に迫ると“神の領域”ということになる。
5区有力選手の「戦闘能力」分析
区間記録は2012年に柏原が出した1時間16分39秒。何度も快走を演じた今井と柏原は「山の神」と呼ばれた。今回、新たな「山の神」は降臨するのか!? 5区有力選手の“戦闘能力”を分析してみたい。 駒大は前回5区で区間3位(1時間19分54秒)の馬場翔大が登録された。馬場は「前回は少しオーバーペースになってしまったので、条件が良ければ1時間18分30秒(区間歴代4位相当)を目標に考えています」と話しており、近年は5区で苦しめられてきた駒大だが、今回はかなり有利な展開になるだろう。 東洋大は4年生の五郎谷俊が5区にエントリーされているが、前回も候補だった2年生の成瀬雅俊など他の選手に変更する可能性もある。山の経験者はいないものの、「1時間20分ぐらいでは走れる」と酒井俊幸監督。言葉通りの走りができれば、5区で大きく遅れることはない。 明大・文元は前回の大会後に5区を直訴した選手だ。西弘美駅伝監督は「1時間19分半ぐらい」と読んでいるが、1区からのコンバートは成功するか。青学大・一色は距離適性のある選手で、身長164cm、体重43kgという超軽量ボディ。原晋監督は「神野に2分以内でつなげればトップでゴールできる」と自信を持っている。4区までに強力選手を揃える駒大の馬場が1時間19分30秒前後で走るとすると、神野は1時間17分30秒という計算だ。このタイムで走破すれば、「山の神」が誕生することになるが果たして……。 早大・山本は前回直前の故障で欠場したものの、過去2回の5区は区間3位と好走している。1年時には1時間19分52秒をマークしており、3年間の成長度を考えると「山の神」に1番近い存在だ。山本は駒野亮太コーチが保持する早大記録(1時間18分12秒)を目標にしおり、「総合優勝のために、往路の優勝テープを切るのが自分の役割です」と意気込んでいる。