トランプ新政権、「米国第一」実現へ忠臣を重用か…「反ワクチン論者」の保健分野での要職起用も
【ワシントン=淵上隆悠】米大統領選で共和党のトランプ前大統領の復権が決まり、来年1月に発足する新政権の陣容に注目が集まっている。「米国第一」の実現に向け、トランプ氏は古くからの忠臣と選挙戦の功労者らで周囲を固めていくとみられる。
「この地滑り的な勝利は、腐敗したワシントンを米国民のために機能させるという明確な使命をトランプ氏に与えた」
共和党のウィリアム・ハガティ上院議員は6日、自身のX(旧ツイッター)に投稿し、返り咲きを決めたトランプ氏を祝福した。
第1次トランプ政権(2017~21年)で駐日大使だったハガティ氏は、「かつてのボスと親しい数少ない当時の政権関係者」(米政治専門紙ポリティコ)と評される。第2次政権で、国務長官や商務長官などのポストで起用される可能性が取りざたされている。
米メディアが国務長官候補に挙げるロバート・オブライエン氏は、前政権で国家安全保障担当大統領補佐官だった。第1次政権で安全保障政策を担当した高官の多くは、退任後に同盟国を軽視するトランプ氏を強く批判した。第2次政権では、自身の意向に忠実に従う人物を要職に起用する可能性が高い。
政府高官候補の人選は、トランプ氏の長男ジュニア氏と次男エリック氏、次期副大統領のJ・D・バンス上院議員らが名誉議長を務める「政権移行チーム」を中心に進める。ジュニア氏は選挙前、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルに対し、政府高官人事について「悪党が入る余地をなくす。大統領に従う人物がほしい」と語った。
トランプ氏の勝利に貢献した人たちへの処遇も焦点だ。自ら設立した団体を通じて請願書に署名した有権者に毎日100万ドル(約1億5400万円)を贈呈して物議を醸した実業家のイーロン・マスク氏について、トランプ氏は行政改革関連の要職での起用を明言した。
「第3の候補」として注目を集めながら撤退し、トランプ氏の陣営に加わったロバート・ケネディ・ジュニア氏は、保健分野での要職起用が見込まれている。「反ワクチン論者」として知られ、保健行政に混乱をもたらす恐れがある。